東京の新規感染者も2日連続で100人を超え、全国でも昨日(7/3)は250人を超えました。
再び自粛生活をしたほうが良いんだろうなあ・・・と思うのと同時に、こういう時期だからこそ、改めて感染症について学ぶのも良いと思います。
さて、4月に課題図書と課題映画を連続で紹介しました。
紹介した自分自身も読んでない本や観てない映画もあったので、コツコツ消化していました。
最近やっと読めたのが、
『復活の日』(小松左京)です
この作品は、ウイルスによって人類が滅亡の危機に追いやられる・・・というところを主題に、本書が執筆された当時の国際定時的状況、つまりは米ソの対立なんかも盛り込まれていて、かなり壮大なSF小説になっています。
この小説の凄いところは、スケール感が大きいながら、ディテールもかなり書き込まれていて、リアリティがかなりあるんですよね。
東日本大震災の時に『日本沈没』が「震災を予見した」と再度話題になっていて、東北にボランティアに行くときに本書を読んだのですが、やはり驚嘆せざるを得ませんでしたね。
危機が起きたときに、政府はどういう対策を取り、そこでどういう摩擦や対立が起きるのか? 人々はどのように振舞うのか? ということが、ものすごいリアリティを持って書かれているんですよね。
その点では、『復活の日』も同様でした。
国際政治やら、ウイルスをはじめとする生物学、医学の知識やら、当時のレベルではあるけど、からに微に入り細を穿って描かれています。
小松左京って、かなりこだわりが強くて、勤勉な人なんだなあ・・・と思います。
星新一、小松左京、筒井康隆は「日本SF御三家」と呼ばれていますが、一人も直木賞を受賞していません。
日本の文壇ではSF小説は評価されてこなかったんですねぇ。
その反動で、日本のアニメやマンガに優秀な人材が流れて、そっちが活性化したのはあるんじゃないかと思うんですが、いずれにしても小松左京はもっと評価されても良い作家だと思いますよ。
『ペスト』(アルベールカミュ)がベストセラーになっていますが、本書は難解ではないんですけど、純文学作品で読みやすい本でもなければ、分かりやすい本でもないので、読破するのはちょっと難儀かと思います。
『ペスト』(アルベールカミュ)がベストセラーになっていますが、本書は難解ではないんですけど、純文学作品で読みやすい本でもなければ、分かりやすい本でもないので、読破するのはちょっと難儀かと思います。
そういう意味では、『復活の日』は、エンタメ小説なので、比較的スラスラ読めるかと思います。
と言っても、ある程度は小説を読み慣れていないと、多少読みこなすのに苦労するかもですが・・・
さて、本作は映画化されていますが、監督はあの深作欣二なんですよねえ。
主演は草刈正雄で、オリヴィア・ハッセー、千葉真一なんかも出演していて、かなり豪華ですし、制作費は25億円という、当時としてはかなりの対策です。
いまでは、忘れられた映画になってしまっているんじゃないかと思いますけど、いま見ても十分面白いです。
(効果音や演技がちょっと大げさで、時代がかかっている感はありますが)
小説の方は、シーンがあっちやこっちやに跳ぶんですが、それをうまく2時間半に1本ストーリーを通して手際よくまとめています。
一方で、映画では説明不足のところもあるので、小説を読んでから映画を見ると良いと思います(逆にすると映像イメージに引っ張られるから勧めない)。
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