英語の勉強のために、毎日BSの海外ニュースを見てますが、アメリカのメディアはトランプ大統領の弾劾裁判と、次の大統領選の話題が相変わらず最大の関心ごとのようですね。
新型コロナウイルスの報道もされてますけど、元NBAのコービーブライアントのヘリコプター墜落死の方が大きく取り上げられているくらいです(苦笑)。
トランプが大統領になったときは、「アメリカはヤバいんちゃうか?」と世界が震撼しましたけど、この勢いだと再選しかねない状況です。
ブッシュ大統領が再選したときには驚きましたが、それ以来、トランプが大統領になろうが、再選しようが「こういうこともあり得るよなあ」と別に不思議は思いません。
日本にいると「ハリウッド映画とか、音楽とか、ITとか、大富豪とか、野球とか、経済でも文化でも世界を席巻していて、自由と平等を国是としているチャンスに満ちた国」みたいなイメージを抱きがちなんですが、実際はそれに反するニュースもたくさん出ています。
陰惨な事件が多数起きているのに銃規制は進まないし、移民を広く受け入れて発展しきた割には白人至上主義者が排外的な言動を繰り返しているし、ハリウッド映画で人種差別に戦った人たちのドラマが描かれている割に差別は一向になくならないし、平和を叫ぶ市民運動が活発な割に戦争ばかりしている。
アメリカって、良くわからない国だなあ・・・と思うわけですが、このわけのわからなさにはちゃんと理由があるんですよね。
前置きが長くなってしまいましたが、最近『ファンタジーランド―狂気と幻想のアメリカ500年史』(カート・アンダーセン 著、東洋経済新報社)という本を読みました。
かなり分厚い本ですが、面白くて意外にスラスラ読めちゃいました。
この本はトランプが大統領になったことが引き金となって書かれた本なんですが、トランプを弾劾するのではなく、「アメリカという国がいかにして作られたのか」の歴史的変遷をたどることで、現代アメリカの病理をあぶり出す・・・という構成になっています。
本書では「アメリカは狂信者が作った国だ」と説かれてますが、歴史の教科書にも出ている、メイフラワー号でアメリカ大陸に上陸したピルグリム・ファーザーズというのは、イギリスで迫害を受けて新天地に逃げたピューリタンです。
そこから、アメリカというファンタジーランド=幻想の国がはじまっている。
以前は、大統領が就任式で聖書に手を置いて宣誓したり、アメリカ人の3分の1が進化論を信じていないとか、不思議でしょうがなかったんですが、アメリカの歴史を見れば、何の不思議もないことがわかる。
アメリカ大統領、ディズニーランド、ハリウッド映画、疑似医療、ヒッピー文化、IT産業など、一見するとバラバラなものが、アメリカが「ファンタジーランド」だと思えば、すべてつながって理解できてしまうんですよね。
アメリカの実質的な属国の国民である日本人は、この本は読んでおくべきだと思います。