1週遅れの感はありますが、やっとのことで、
『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』 (NewsPicks Book) | 佐藤 航陽
を読みました。

僕の本の読み方として、話題になっている時には読まず、一拍おいて、沈静化したあたりで読む。
というのがあります。

流行というか、熱狂というか、そういうのに流されたくないんですよね・・・
話題に流されてつまらない本を読むと、時間を無駄にするっていう思いがあるんですよね。
多少、時間が経っても「読みたい!」と思う本は、おそらく価値がある本だというのが、自説です。

この本もそうでした。
本書はメタップスの社長(と言っても若い)の 佐藤航陽氏が書いた本です。
起業家が書いたこの手の書籍って、内容は面白くても裏付けが希薄だったり、思いつきがや思い込み多くてリアリティーがないものも多いですが、本書はそうではないです。

経済学や哲学などの学説が引用されていて、これまでの学問的成果を踏まえて、これからのお金のあり方を俯瞰していて、体系的に整理されてるんですよね。
佐藤氏はかなり教養のある方と見受けられます。

かといって、学術用語満載の読みにくい本ではなく、平易な言葉でわかりやすく書かれています。
それでいて、決して内容が薄いわけではないので、やっぱり良書なんだなぁ・・・と実感します。

仮想通貨とかシェアリングエコノミーとか、最新のトレンドも踏まえながら、「お金」の世界がこれからどう変わっていくのか?というのが俯瞰されています。

一言で言えば、これからの世界は資本主義から「価値主義」へと変わるということですね。

ミレニアル世代という、2000年代に成人を迎える世代(つまりは1980年以降生まれ)は、すでに物に溢れた豊かな社会が前提となっており、物欲も希薄で、「莫大な富を築きたい」という野望も薄い。
お金が欲望を満たす時代は終わってるんですね。

で、「価値主義」というのは、その人の持つ資質、彼の持っているネットワーク(人のつながり)が世界でどう評価されるのか? というのが重要になる世界です。

「価値」が主体となって、必要に応じてそれをお金に買えることができる(別に変えたくなければ変えなくても良い)。

お金を稼ぐために仕事するのは、好きな仕事をした方が良いという発想も、ここから来てるんでしょうね。
結局、好きなことをやって、自分の価値が認められれば、それをお金の価値に買えることも可能になる。

著者が述べている通り、お金は国家が管理し、中央銀行が発行するものだという通念自体が比較的新しいもの。
僕が生まれる直前くらいまでは金本位制が中心で、貨幣は金との交換が可能という前提で成り立ってました。金の裏付けなしに、貨幣が価値を持つということは考えられなかったんですよね。

それを考えると、仮想通貨やトークンみたいなものが、貨幣として成立する社会が来ても全然不思議ではないんでしょうね・・・

本書で書かれていること自体は、新しい概念ではないと思います。
実際、「お金の価値が下がり、人が価値を持つ時代になる」という話は、岩井克人氏や他の知識人の方々は結構前から仰っていたことです。

「価値主義」みたいな考え方自体は特に目新しいわけでなないけど、仮想通貨やフィンテック、シェアリングエコノミーみたいな新しいビジネストレンドを包括する形で、議論がなされているので、その点は先端的な動きが捉えられているなあ・・・と思いました。

「資本主義社会は終焉を迎える」みたいな意見は至るところで見られますけど、資本主義はなかなか滅びません。
著者は、複数の経済システムが共存しうると仰っているので、必ずしも資本主義が崩壊するとか、そういう主張はされてないんですが、全体の論旨からすると、資本主義から価値主義へと軸足を移して行くとお考えなんでしょうね。

この辺については疑問ですね。
沖縄に住んでいるとよく分かるんですけど、ミレニアル世代でも、決して豊かでもなければ、物質的に満たされているわけでもない。
「価値主義」なんて言っている余裕はなく、日銭を稼いで生活を成り立たせることで精一杯。
そんな人は、沖縄に限らずにたくさんいると思います。

著者の主張されるような世界というのは、中産階級以上の社会で成り立つものじゃないかという気もしますね。

やっぱり、お金の力はまだまだ強いし、お金のない人たちほど、その魔力から逃れることは難しいと思います。

いずれにしても、読む価値のある本なので、読んで色々と考えてみると良いと思います。


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