村上春樹という作家について「好きか?」と聞かれると少し考えてしまいます。

ただ、彼の本はほとんど読んでいます。
著作をほとんど読んでいる作家は、片手で数えられるくらいしかいません。

読まずにいられない作家だし、読み始めると、たいてい一気に読んでしまうんですよね。
好む好まざるにかかわらず、村上春樹は現代文学において、つねに参照点となるような作家であることは間違いないと思います。

『職業としての小説家』という本は、2015年の秋に出たので、1年半以上は経ってるんですが、つい読まないままになってました。

このたび読んでみました。
過去の著作や発言と重複するところは多かったですが、面白く読めました。

村上春樹が、作家としてどのようなスタンスで執筆に臨んでいるのか・・・みたいなことが綴られています。
前半が雑誌の連載で、後半が書き下ろしですが、シームレスにつながっていて、違和感はありません。
ハルキストには、たまらない本でしょうね(僕はハルキストではないですが)。

本当に賞を気にしていないとか、スランプに陥ったことがないとか、「へえそうなんだなあ」と思わせるところが多々ありました。

でも、作家志望の人が読んで、ここに書かれているようなことを真似しようと思っても、なかなか真似できないんじゃないでしょうか。
村上春樹ってある種の天才だと思うんですよね。
議論はわかれるところかもしれませんが、割り引いて言っても、特殊能力を持つ人であることは間違いない。
だから、あまり苦労しなくても小説が書けてしまうんだと思います。

もちろん、執筆の際にはすごく色々なことを考え、工夫されていることは文章から伝わってきますけどね。

そういう特殊な作家が、どういう創作をしているのか?
を知る上ではとても勉強になります。

そういえば、全然ジャンルは違うけど、違う分野で成功している知り合いがいるんですが、彼はこの本に書かれているのと似たスタンスで仕事しています。
賞は気にしない。
人の批判も気にしない。
常に、自分のペースで仕事をして、他人の意見に流されない。

でも、彼に憧れて、彼の真似をする人もいましたが、彼にはなれないんですよね。

昨日、『ミステリーの書き方』という本のレビューを書きました。

書かない人でも勉強になる『ミステリーの書き方』

それと比べても、村上春樹という作家は、作家の中でも特殊だなあ・・・と思いました。
村上春樹はミステリー作家ではないので、単純な比較ができるのかはさておきですが・・・

作家なんて、みんな特殊!とも言えますけど、それでも『ミステリーの書き方』を読んでいると、ある傾向はありそうなんですよね。

『職業としての小説家』を読んでいて思ったのですが、村上春樹って、モヤモヤした時代の雰囲気を、すっきり整理するのでもなく、解決するのでもなく、うまく掬い取って作品化している感じがしますね。
世界的な時代の空気感もそうだったんでしょうね。

本書にある通り、デビュー時(あるいは今でも)批判は多いし、僕も最初に読んだときは違和感があったんですが、日本に限らず、現代を代表する作家であることは間違いないと思います。


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