またもや書籍レビュー。

『ガセネッタ&(と)シモネッタ』 (文春文庫) 米原万里

米原万里の本は、過去2冊ほど紹介してきました。

『打ちのめさるようなすごい本』もなかなかすごい本

米原万里 『他諺の空似 – ことわざ人類学』は快著だが・・・

この人の本、読みやすくて面白いのですが、それに反して(?)教養豊かなので、つい手にとって読んでしまいます。

『ガセネッタ&シモネッタ』は再読。
再読して、内容を覚えている本とそうでない本がありますが、米原さんの本はある程度内容を覚えています。
塩野七生は対照的なんですよね。

インパクトが強いからだとは思いますが、相性もあるんでしょうね。
もちろん、読んだ時点での、僕自身の知識や関心も大きいと思います。

さて、『ガセネッタ&シモネッタ』も、「ああ、そうだったなあ」と前回読んだことを思い出しながら読みました。

本書は、著者の専門であるロシア語通訳からのネタが多いです。
作家として有名になられてからの作品も面白いんですが、通訳が本業だった時代のエッセーは、通訳という職業ならではの独自の視点が入っていて、色々と勉強になる事が多いですよ。

と言っても、内容は軽めのエッセーです。
通訳の失敗談とか、通訳を通じた言語を巡る談義だとか、そういうのが中心になっています。
各所で寄稿したものを束ねた本ですけど、編集がうまいのか、統一感のある本に仕上がっています。
途中に挿入される対談も、内容はしっかりしていて面白いです。
最近の対談集って、スピード重視で安直に作られたものが多いですが、本書の対談は面白いです。

仕事でセミナーに出たり、海外との会議をやるときに同時通訳がつくことはありましたが、彼らの仕事がどんな感じなのか、あまり想像したことはなかったです。

思ったよりも大変な職業だと気づかされます。
それ以上に、彼(女)らがそこから掴み取っているものの面白さも良く分かります。
それを魅力的な文章にできるのは、米原さんの独自の才能だとは思いますがね。

相変わらず下世話な話も多いんですけど、下品にならないところが彼女の芸でしょうねえ。

開高健の著作なんかを読んでも思いますが、少し前までは、こういう役に立たない知識や教養に価値を見出す人がもっと多かったんだなあ・・・と思います。
いま少なくなっている牧歌的な教養というか、知的な無駄話が楽しめる本となっています。

仕事を辞めたからには、こういう本をゆっくり読むのも有意義でしょうねえ。


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