今日は本ばかり読んでますんで、また書籍のレビューです。

『宮本常一が見た日本』佐野眞一

宮本常一という人がどのくらい有名なのかは知りませんが、僕にとっては、単なる民俗学者というではなく、生き方のモデルになるような人なんです。

日本中を旅して、フィールドワークを行った在野の学者です。
生まれが地方で裕福でなかったこともあって、学歴や職歴には恵まれていないんですよね。
それでいながら、業績が素晴らしいし、人間的にも優れていて、後世では各界の知識人から高い評価を得ています。

ただ、この評価はここ10~20年くらいに高まっているという感じはしますがね。

で、本書はノンフィクション作家の佐野眞一氏が、NHKのテレビ講座のために書き下ろしたテキストに加筆して、著作としてまとめたものです。

テキストが元になっている割には、300ページ以上あって、文字も詰まっていて、重厚な作りになっています、
たノンフィクション作家です。
著者の佐野眞一氏は『東電OL殺人事件』で、有名になっ

佐野氏は、宮本常一に心酔されているようで、本書以外にも宮本常一に関する著作があります。
最初は意外に思ったのですが、宮本常一も一種のノンフィクション作家と言えるので、佐野氏にとっても学ぶところ大なんでしょうね・・・

延々と前置きが長くなってしまいましたけど、本書は、宮本常一の伝記とも言えるし、宮本常一論とも言える本です。

宮本常一の生涯をたどりながら、著宮本常一への著者の評価を加えていくという形を取っています。
盛り沢山なので、ついページも増えてしまうんですね。

全体として感じることは、宮本常一は生涯フリーランスのノマドワーカーを貫いていたんだなあ・・・てことです。
ネットが出てきて「新しい働き方」なんて持て囃されているけど、はるか昔(というほどではないか)に、宮本常一が実行していたんですよね。

本当にこの人は、徹底的に日本各地を旅し、調査して研究を行った。
そこまでやった人は他にいないし、世界を見る目も突出して優れていた。
それがゆえに、学問的な到達も他者は学ぶことはできても、真似はできないレベルに到達してるんですよね。

現在のノマドの大半がいずれ消えていく(すでに消えている人も多い)中、宮本常一は生き続けている。
彼のような生き方には憧れます。

あと、素晴らしいのは、宮本のパトロンとなった渋沢敬三です。
昔の実業家には、無名の才能のある人に肩入れするだけの精神的余裕がある文化人がいたんですねえ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください