今日は、ひたすら本読んでます。

『赤瀬川原平の名画読本―鑑賞のポイントはどこか』 (知恵の森文庫) 赤瀬川原平

絵画鑑賞に関する入門書はたくさんあります。
特に、西洋美術に関するものは腐るほどあります。
ただ、玉石混交です。

本書は「玉」に属しますが、先日紹介した、高階秀爾氏の著作とは全くアプローチが違います。

西洋美術を学ぶ基本図書『近代絵画史―ゴヤからモンドリアンまで』

同じ西洋名画を鑑賞するにも、人によってアプローチの仕方や評価が全く違うんだなあ・・・と感心させられますよ。

さて、高階秀爾は西洋美術史の研究者ですが、赤瀬川原平は現代アーチストです。
芥川賞も受賞しており、小説家としても知られているので、文章力もかなりある方なので、こういう本を書くにはすごく適した方なんでしょうね。

さて、本書は、印象派を中心に、15作の作品に関して解説が加えられていますが、さすがは自身が創作者だけあって、普通の鑑賞者には気づかないような視点が提示されていたりします。
普通に鑑賞していて見落としがちな、周辺に描かれた文物に関する意味づけがなされていたりします。
例えば、マネの「オランピア」の黒猫なんかですが、僕にしてみると「オランピアに黒猫なんか描かれてたっけ?」くらいのイメージです。
別に、著者はディテールに拘っているわけではなく、部分が全体の構成に果たしている役割を考察しているんですよね。
あるいは、部分とか全体とかではなく、絵画を構成する要素について語っているともいえるかも。

画面の構成や色彩の配置といった、創作者ならではの視点を学ぶことができて、とても勉強になります。

最後の2章はルノワール「ピアノによる少女たち」とアングル「泉」に充てられていますが、この2作品に関しては酷評しています。
赤瀬川さんって、褒めるよりも貶す方の筆致が鋭いなあ・・・と痛感されました(笑)。

あと、作品の解説にとどまらず、より一般的な見地から「なるほど!」と思わされるくだりもあります。

例えば・・・

日本人は古い物を嫌う。使い古しを嫌っていつも新しい物を使いたがる傾向がある。名品として古い物はともかく、ふつうの古い物には人前でコンプレックスを感じたりする。だからむしろ侘びや寂という古さに美をみつけることができた。

ピカソの作品が対象になっていなかったりしますが(マティスはなっている)、「どうして著者のラインナップがそうなっているんだろう?」と推測してみるのも楽しいかも。

順番は前後しますけど、冒頭に「自腹を切って購入するつもりで鑑賞しろ」みたいなことが書かれてますが、「たしかにそうだなあ」と思います。
今後、美術展にいったらそのつもりで鑑賞したいと思います。
疲れそうですが・・・


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