一昨日から書いてますが、本を始末する前に再読しています。
まずは、マンガと池上彰の著作から手を付けてます。
『知らないと恥をかく世界の大問題 』(5,6)も勉強になるが、トランプ大統領誕生で状況は変わってしまった
次は、『ルードウィヒ・B』(手塚治虫)
手塚治虫の遺作で、ベートーベンを主人公にしたマンガ。
改めて書くまでもないことかもしれませんが、日本のマンガ業界がこれだけ多様で知的レベルが高いのは、黎明期に手塚治虫という人がいたおかげですねえ。
本作も、歴史的事実にフィクションを加えてエンターテインメント作品として仕上げていくという、手塚治虫の常套手段が取られています。
モーツァルトの造形は映画『アマデウス』を下敷きにしていると思われますし、意図的な創作はありつつも、歴史の検証もかなりしっかりなされています。
手塚治虫はベートーベンシンパですが、あとがきを読むと、自身をベートーベンになぞらえていることがわかります。
たしかに、手塚はベートーベンのような「努力型」の天才だったんですねえ・・・
あと、音楽を大衆のものにしようとした、ベートーベンの試みは、手塚のマンガに対する思いと重なるところもあるんでしょうねえ。
人間のコンプレックスや育った環境の制約の中で、人がどう動き、どのようなドラマが展開していくかをしっかり考えて構築されている点は、さすがは巨匠の晩年の作品だと思います。
未完が惜しまれますが、その後の展開を想像しながら読むのも楽しいでしょう。