本のレビューしておきます。

『チルドレン』 (講談社文庫) 伊坂 幸太郎

年末年始の東南アジア旅行に持って行った、唯一の旅以外の本です。

連作短編で、読みやすそうだったので、旅行に最適かなあ・・・と思って選んだ次第。
結構前に出ていた本なのですが、これだけ積読状態でした。

伊坂幸太郎の最高傑作とは言えないですが、センスの良い伊坂ワールドは健在です。

連作短編と言っても、時系列はバラバラで前後しています。
タランティーノの『パルプフィクション』を思い出させられました。

ミステリーと言うよりは、ヒューマンドラマと言った方が良いかもしれません。
本作の魅力は、「陣内」という変人の登場人物です。
変人だけど、子供みたいで魅力的な男なんですよねえ。
この陣内の造形がさすが!という感じがします。

それぞれの作品で主役は違うんですが、むしろ主役は狂言回しであって、全体を貫く真の主役はこの陣内です。
この辺の心憎い工夫も、伊坂らしいところですねえ。

伊坂のことだから、最後にもう一ネタくらい仕込まれているかなあ・・・と思ったら、そうでもなく、真っ当な終わり方しましたねえ。

伊坂幸太郎は、東野圭吾と比較されることが多いですが、作家としての実力と言う点では、東野圭吾より上だと思います。
ただ、メジャー感で劣るかなあ・・・という気がします。

気が利いているんですが、ちょっと鼻につくところも確かにあります。
伊坂の作品ではボブディランが良く出てきますけど、ノーベル賞獲る前は、若い人の間で聴かれるミュージシャンではないと思います。
あと、ある作品の中で芥川龍之介の『侏儒の言葉』に影響受ける人たちが出てきますが、あまりそういうタイプの人には見えないんですよねえ。

短編で比較的すぐ読めるし、センスが良くて暗くないので、結果的に、旅のお供に適した小説でしたよ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください