書籍のレビューです。

『大世界史 現代を生きぬく最強の教科書』(文春新書) 池上 彰、佐藤 優

祖母の介護で家族が揉めて、実家に戻っていた、という話は先日書きました。

老人介護から学ぶ、人間のフシギさ

帰省して「Iターンはありだけど、Uターンはない」と明確に悟った

「なぜ、こんな揉め事が起こるんだろう?」と思うのですが、ほとんどが過去に原因があるんですよね。

「祖母の面倒をいまこの人が見ているのは、過去にこういう出来事があったから」
「この人とこの人が仲たがいしているのは、●●年前のこの出来事がきっかけだった」
etc.

現代を理解するためには、過去の理解が不可欠だ!と痛感した次第です。

さて、長い前置きはこの辺にして、本のレビューです。

本書はまさに、「現代を理解するために、歴史を理解する」という趣旨の本となっています。
だから、生きた歴史が学べるんですよね。

池上彰と佐藤優という、人気の知識人(?)の対談集です。
こういうビッグネームを起用した対談集って、概して深みに欠けることが多いです。
内容がなくても売れるし、対談を本にするのは執筆や編集の手間が省けるので、安直な作りになりがちだったりするんですよね。

ところが、本書はかなりしっかりした内容になっている。

ちょっと驚いたのが、池上彰の知識の深さです。
この方について、「難しいことを分かりやすく説明するのには長けているけど、知識の深さはさほどでもない」と思い込んでいましたが、現在の世界情勢を見る目は深いなあ・・・と思いました。
単なるタレント知識人ではないことが、本書から明らかになりました。

特に、中東やロシアに関しては、日本人の知識が十分でないところを、ポイントを押さえた説明をしてくれていて、とても勉強になります。
ヨーロッパにおけるドイツの役割の重要性(この辺はエマニュエルトッドも再三強調しています)、中東におけるトルコの覇権主義(オスマン帝国の再来を目指している)などは、世界情勢を理解する上で重要な視点だと思うのですが、日本人が見落としがちな点でもあります。

この辺をちゃんと歴史から紐解いて分かりやすく説明してくれているので、とても有用な本だと思います。
歴史の本もこれからたくさん読んでいきたいと思っていますが、本書を読んでおけば、現代とのかかわりで理解するという視点を得ることができます。
その点でも有用なんですよ。

分かりやすくするために、極論や決めつけ的なところも無きにしも非ずですが、その辺をマイナスしても、十分読む価値ある、良書ではあります。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください