美術館に行くだけでなく、色々と知識を身に着けることを心掛けています。
少しずつですが、本を読んで勉強しています。

『近代絵画史―ゴヤからモンドリアンまで』(中公新書)高階 秀爾

1975年に出た本ですが、古さを感じさせない、基本図書と言っても良い名著です。

著者の高階秀爾氏は西洋美術研究の大御所で、日本で一番有名な西洋美術研究者と言ってよいと思います。

高校生から大学生にかけて、高階秀爾氏の著書を読まなかったら、西洋美術に関心を持たないまま終わっていたかもしれない。
特に、『名画を見る眼』シリーズ2冊は、単純な「良い悪い」という評価を超えて、歴史や題材、表現手法からどう絵画を観るべきなのか?
ということを教えられました。

芸術作品なんて見て楽しめれば良い。
知識なんて関係ない。

そういう意見もあってよいとは思いますが、知識があると、より深い鑑賞ができることは間違いないです。
特に西洋美術は、日本人の日常生活ではわからないテーマやお作法に基づいて制作されていることが多いので、同時代の作品以外は、勉強しないとわからないと言っても過言ではないと思います。

さて、本著作は、サブタイトル通り、ゴヤからモンドリアンに至る近代絵画に焦点を絞って詳しく紹介されています。
特に、上巻はとても良くできていて、個々の作家の特性と、歴史的な流れと、両面から立体的にアプローチされていて、理解が深まります。

一方で、下巻はやや散漫で、全体の流れが見えづらい感じはありました。
著者の問題と言うよりは、時代が下るにつれて、西洋美術の流れが複線化して、大きなパースペクティブのもとに語りづらくなっていったということかと思います。

教科書的な本ではあるのですが、キュビズムの流れの中で、ピカソの陰に隠れがちなブラックを高く評価していたりと、著者独自の視点なんかも入っていて、その辺も面白いところではあります。

西洋美術に興味ある日本人は、本作をはじめとする高階秀爾氏の著作群は必読書だと思いますよ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください