ETV特集「路地の声 父の声~中上健次を探して~」

さっきEテレでやっていた番組ですが、良い番組でした。

中上健次は、社会人になった頃、主要な作品を読みました。
好きな作家とは言えないんですが、読まざるを得ない力強さがあるんですよね。

ちょうど、『ある精肉店のはなし』のレビューを書いたところです。

『ある精肉店のはなし』@ポレポレ東中野は必見のドキュメンタリー映画(1076本目)

被差別部落つながりでいうと、中上健次は被差別部落の出身で、その部落を彼は「路地」と呼びました。
彼の作品のモデルともなっている5人のオバ(おばあさん)をヒアリングしたカセットテープが見つかった。
娘さんである作家の中上紀さんが、そのテープを手掛かりに、路地を訪ねます。

改めて、中上の小説の背景が理解できました。

部落解放が進み、共同住宅が開発され、部落を隔てていた山が崩されて道が作られていく。
故郷が失われていくわけですが、それは差別が解消されていく過程でもある。

僕たちの場合は、昔の古い家や生まれた土地は懐かしく思い、それが無くなることを悲しむのですが、彼らの場合は複雑なんですよね。
それにしてもオバたちは、小説に出てくる姿に勝るとも劣らない強さ、強烈さを持っていますね。

中上健次の作品を再読してみたくなりました。

レビューしようと思って、できていなかった本があります。

『日本の路地を旅する』 (文春文庫 上原 善広著)

著者も、被差別部落の出身の方です。
中上健次が「路地」と呼んだ、日本全国の被差別部落を旅したルポルタージュです。
この本は、中上健次がフィクションでやったことを、ノンフィクションとして引き継いだような作品です。

昔ながらの「路地」の世界はほぼ消えてしまっているのですが、土地に沁み込んでいる消えない記憶がある。
それを、自分の人生と重ねながら丁寧に辿っています。

中上健次にせよ、上原善広に虐げられてきた人だからこそ、見えてくる世界、書けるテーマがあるんだな・・・と思います。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください