老後

久々のブックレビューです!

『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)

ベストセラーになり、「下流老人」という言葉を流行語にした(?)本です。

実は本書の著者の藤田孝典さんとは、2度ほどお会いしたことがあります。
僕より年下なんですが、社会起業家として活躍されていて、凄いなあ・・・と思います。

ただし、本書のレビューは中立的に書きます。

普通の人たちが下流老人化しかねない、現代という時代がえぐり出されています。
いまの社会では貧困に陥る高齢者に対して、「自己責任だ」みたいなことが言われます。
でも、実際はそう簡単なことではないんですよね。

ちゃんと働いてある程度の貯金があっても、生活が崩壊してしまう可能性は十分ある。
本人が、病気になったり、事故にあったりするというのもあります。
また、本人でなくても、家族に何か起こったりすると、途端に貯金が尽きて、生活が破たんする可能性もある。
普通の生活を送っている人が、下流老人化する可能性がある。
本書はその事実を突きつけたという点で、高い評価に値すると思います。

日本には国民が困窮しないような社会保障制度がある。
でも、それが広く人々に知らされていないため、知らずに保障を受け損なうことも多い。
あと、知っていても、生活保護を受けることが恥ずかしい・・・という後ろめたさがある。

著者は「生活保護は権利なんだから、堂々と受給すべき」というスタンスです。
僕も同意見ですね。

本書に批判的な人は、「自助努力をしない人を甘やかすような主張だ」ということを仰っています。
もちろん、自助努力をしない人は、その人に責任があると思います。
でも、自助努力ができない人もいる。
実際、自分の親がそうだったりします(苦笑)。

たしかに、自業自得の人もいると思いますけど、十把一からげに「金のない老人を救う必要はない」というのは、寛容度に欠けると思います。
本当にダメで下流化している高齢者について、本書ではあまり語られていないので、違和感を覚える人がいるのも十分理解できますけどね。

さらに、本書に関して難点を言えば、多くの人が社会保障に頼ることになった場合、その財源をどうするかが明確でない点です。
本書でいくつか提案はあるものの、それで十分な財源が得られるのか、有効に機能するのか、というのは検証の余地がありそうです。
この本は社会制度を論じたものではないので、やむを得ないところもありますがね。

「救貧」ではなく「防貧」が重要という指摘には激しく同意です。
貧困に陥ってから救うより、貧困に陥るのを防ぐ方が、社会コストは少なくてすむし、何よりも社会全体の幸福度も高まると思います。

いずれにせよ、自分が陥るかもしれない未来を事前に知ることができる本なので、万人が読む意味があると思います。


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