遅ればせながら、徳島旅行中に読んだ本をもう一冊レビューしておきます。

『他諺の空似 – ことわざ人類学』(米原万里)

米原さんの著作のレビューは2回目です。
1回目はこちら(↓)。
『打ちのめさるようなすごい本』もなかなかすごい本

米原万里さんの著作は、旧ソ連諸国を旅行するときに持って行くのが習慣でした。
ロシア文化圏に関する書籍は名実ともに重いものが多いんですが、米原さんの本の軽さは好きでしたね。
「軽い」というのはノリが良くてテンポよく読めるという意味であって、内容が薄いという意味では決してありません。
それどころか、深い含蓄が含まれている。

本書は過去に読んだのですが、あまり覚えていないので再読した次第です。
徳島と旧ソ連とは何の関係もないですが、たまたまです(笑)

世界の諺(ことわざ)を集めつつ、世相を切った本です。
各章ごとに、小話⇒諺⇒世相みたいな流れで話が進みます。

世界にはかなり共通した諺があることに驚かされたりします。
逆に、日本で良く使われている諺で、類似したものが海外には見られなかったりもします。
同じ意味でも、海外では例えに使われている題材や表現の仕方が違っていたりして、そこは文化や地理の差を感じさせて、とても勉強になります。

下ネタ満載ですが、米原さんの下ネタは強烈ながらも、カラッとしていて、陰湿さはないので厭な感じはしません。
ただ、小話は面白くはあっても、ちょっと古臭い感じはしましたね。

あと、本書に収められている文章が書かれたのは、小泉、ブッシュ政権時代ですが、彼らに対して痛切な批判がなされています。
この部分は正直、賞味期限切れでちょっと退屈でした。
たしかに、当時の状況は現在の安倍政権につながる部分はあるわけですが、どうも政治の話題になると、紋切り型に陥りがちなんですよね。
まあ、父親が共産党幹部の衆議院議員ですからね・・・

いずれにせよ、作家先生は、著書の中での政治批判はほどほどにした方が良いと思いますね。
というのも、政治批判は文章の賞味期限を短くし、読者の幅を狭めてしまうことになるからです。

サブタイトルの「ことわざ人類学」に基づいて、各国の文化比較や人生論を語っていたらもっと賞味期限の長い、読み継がれる本になったのに・・・と思いますね。

余談ながら、本書を読んでいて、開高健を連想しました。
はじめて気づいたんですけど、米原万里さんって、開高健の影響を受けてるんじゃないかと思ったりもします。
仕上がったものは独自のテイストが強く出ているものの、素材の選び方や、料理の仕方が似ている感じがするんですよね。


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