ヤマザキマリの作品は、実は一つも読んだことがありません。
唯一、映画化された『テルマエロマエ』は観ました。
「面白い」とは思いつつも、特別印象に残ったわけではありません。
そんな僕が、
『国境のない生き方: 私をつくった本と旅』 (小学館新書) ヤマザキマリ
を読んだのは、ヤマザキマリという人の生き方に不思議な魅力を感じていたからです。
たまにテレビに出られているのを見て、「教養のある人だなあ」と感心させられてました。
この方、波乱の人生を送られているんですよね。
14歳の時、ドイツとフランスを一人旅。
その後、イタリアに単身留学。
現地で詩人と同棲し、シングルマザーになる。
イタリアでは相手の男を養っている状態だったらしく、困窮状態に・・・
そうした中で、ヤマザキマリさんが世界で経験されたこと、読んだ本のことが語られます。
三島由紀夫、安倍公房、ガルシアマルケスなどの純文学もあれば、「フランダースの犬」や「ニルスの不思議な旅」のような児童文学もある。
「アラビアンナイト」もあれば、「暮らしの手帳」もある。
彼女の読書体験というのは、教養とか趣味とか、そういうレベルのものではなく、波乱の生活の中で必要不可欠のものしてあった。
だからこそ、読書から得られる体験は必要不可欠かつ、唯一無二のもので、真の意味で血肉になっているものなんですよねえ。
彼女の旅もしかりです。
その体験記を読んでいると、僕の親の世代くらいの体験なのかな・・・と思わせられますが、僕よりも4歳上なだけです。
それで、これだけ濃密な人生を生きているとは!
電車の中で没頭して読んでいたせいで、すぐ前にご老人が立っているのに気づかず、席を譲り損ねてしまいました