読んでから時間が経ってしまいましたが、橘玲の『言ってはいけない 残酷すぎる真実』 (新潮新書)をレビューしておきます。

なんと、Kindle番が100円で出ています!
近刊で売れている本がこんなに安値で売られる時代になったんですねえ。
(期間限定かもしれないので、読みたい人は早めに買っておいた方が良いかも)


さて、本書は前作『「読まなくてもいい本」の読書案内』の姉妹編とでも言うべき本です。

本書をヒトコトで言うと、「ぜんぶ遺伝子のせいだ。」ということになるでしょうか?

ちなみに、JR東日本のCMを文字ってます。

人間は平等である。努力は報われる。
そんな綺麗ごとが世の中をまかり通っているけど、生物学(特に遺伝子学)に基づくと決してそうではない。
人が後天的に得られるものは少なく、多くは遺伝子や本人の努力とは関係ない環境要因で決まってしまう・・・

そんな話が、最先端(?)の科学に基づいて(裏付けられているかはさておき)語られています。

僕らくらいの年齢以上は、戦後民主主義がまかり通ってましたから、「人の能力は遺伝で決まる」「外見が良い方が得をする」「人間は生まれつき不平等にできている」なんてことはタブーに近かったんですよね。
でも、社会環境も変わったし、学問の世界では、われわれの社会常識を覆すような結果が出るようになってきた。

そういう意味では、本書はさほどオリジナルな視点、目新しいは入ってないと思います。
ただ、僕たちが最近の学問の成果に疎いので、橘氏が入門書としてこういう本を書いてくれると、「ハッ」とさせられる。
橘氏の他の本と同様、良くまとまっているし、難しいことをわかりやすく書くのに長けた方なので、効率的に学べます。

ただ、一部は学問的な裏付けを飛び越えてフライングしている感じのところもありますね。
実際、現代の日本社会では、生まれつき能力が劣っていても、努力や世渡りの工夫でどうにかなるところもあるんですよね。

それにしても、最近の橘玲は作風が変わってきましたね。

元々は、株式投資、資産運用等のお金の話や、金融・経済の話が多かったのですが・・・
株式投資や資産運用が今ほどメジャーではなかった10年前くらいまででは、橘氏は稀有な存在だったと思います。
ただし、橘氏自身は「投資はやっていない」みたいなことを著作で書いていました。
いまは、実際に投資をしている人の実践的な知見が求められる時代になっているので、金融系のネタではもはや優位性は出せなくなっているのかな??とも思います。

そこで、最先端の学問(科学や経済学)を現実社会にあてはめて語るというポジションを確立しようとされているのかな???とも思います。

漢字は違いますが、もう一人のタチバナさん、立花隆の先端科学を紹介するというポジションを築いていますが、人間社会に敷衍して語ったりはあまりしませんね。
そういう意味では、いまの橘玲さんのポジションは、むしろ池上彰に近いのかな・・・と思いました。

池上彰よりは、ダークで皮肉な感はありますがね。
このポジションを取っている人はいまはあまりいないと思うので、しばらくはこっちの路線で行かれるのかな???
と思います。

僕としては、金融・経済系に戻って欲しいと思いますがね。


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