リタイア後は、東京に留まるつもりもありません。
海外、地方を転々とする可能性もあります。
だから・・・と言うわけではないですが、イケダハヤト氏の『まだ東京で消耗してるの? 環境を変えるだけで人生はうまくいく 』(幻冬舎新書)を読みました。
イケダハヤト氏の発言は、共感できないところも多いですが、ブログ運営に関しては教えられるところも多いです。
以前レビューしましたが、『武器としての書く技術』はとても勉強になりました。
文章術の本は腐るほどありますが、ブログは紙媒体と違って、独自のノウハウが必要になります。
その辺もきっちり押さえて書かれていたので、類書にない知見が入っていたと思います。
さて、『まだ東京で消耗してるの?』の方ですが、著者が高知の田舎に移住した経験に基づいて、東京から地方に移住することのメリットや移住のノウハウが書かれています。
「なるほど!」と思うところはいくつかあったものの、ちょっと地方賛美が過剰過ぎる気がします。
著者にとっては、高知移住はとても良い選択だったのかもしれませんが・・・
地方移住を薦められれば薦められるほど、著者の特殊性が際立ってしまいます。
地方がそんなに魅力的なら、地価や不動産価格がこんなに安いわけはないし、人口減少が問題になるわけないと思います。
実際、僕の親戚は、引っ越して元の家が空き家になっているのですが、二束三文でも売れない状況です。
東京で働いている息子(既婚子持ち)に「家は譲ってやるから戻ってこい」と言っているのですが、「仕事がないから戻れない」となっています。
東京に住んでいても、待機児童の問題なんかあって、苦労していますが・・・
それでも、田舎には帰らないし、帰れない。
著者のように、自分で仕事が作れれば良いのですが、大半の人はそうではないです。
『武器としての書く技術』は一般的なノウハウとして昇華されていた感はありますが、『まだ東京で消耗してるの?』は自己の体験談や感想的なところが多く、一般性に欠けていると思いました。
最近のイケダ氏は「オールドメディア」に対する批判が目立ちます。
その反動か知りませんが、紙媒体で重視される、一般性、普遍性、客観性みたいなところが担保できていないと思います。
本として読むなら、もう少ししっかり検証して、もう少し時間をかけて内容を練ってほしかったところです。
著者自身、その辺に時間も労力も費やす気はなさそうですが・・・
明らかに間違っていると思われる個所も散見されました。
例えば・・・
地方での婚活に関するところで、「高知の女性は(東京の女性と比べて)相手の肩書は気にせず、中身を重視する」みたいなくだりがありましたが、全く逆だと思います。
僕は高知と同じくらいの田舎の出身ですが、
地方では、
医者や弁護士 > 県庁や市役所などの公務員 > 電力・ガス・通信・メディア(新聞社やNHK)等の公共系企業 > 有名企業 > その他の企業 > 自営業
というカーストが存在します。
相手の女性は気にしなくても、家族・親戚、周囲の人が気にする事も多いです。
肩書がイマイチな相手との結婚には、周囲が反対したりもします。
「●●さんの旦那さんは県庁に勤めてるんだって、安定していていいねえ」「●●さんの息子さんは、●●大学(地元の国立大学)に受かったんですって。頭いいのねえ」みたいな会話は日常茶飯です。
これは、僕の地元だけでなくて、両親の地元に行ってもそうでした。
キー局、大手商社、都銀、大手広告代理店有名企業は、地方ではあまり知られていないため、序列の中に入っていないだけです。
大学についても、東大京大、早慶はさておき、例えば東京都立大学や横浜国立大学なんかは田舎では知名度がなかったりして、それより偏差値の低い地元の国公立大学の方が評価が高かったりします。
イケダ氏が付き合っている、特殊な少数の人を見て、一般化して語ってるだけじゃないかなあ・・・と思います。
東京の方が、「一流企業」もたくさんあれば、自由業(作家やクリエイター)で成功している人、飲食店などの自営業で成功している人など、多様な頂点が存在していて、田舎のようなガチガチのカーストはないですよ。
#
お疲れ様です!
田舎カースト、おっしゃっている通りです!
都会生まれが数年住んだくらいで田舎の根っこの部分なんて理解できるはずが無いのです。
最低でも10年は住まないとその土地の文化なんて分かりっこない。
イケダハヤト氏の主張は薄っぺら過ぎる。
自分も高校卒業からずっと東京暮らしで18年住んでから田舎に戻ってきて、あまりの文化の違いに馴染めなかった・・・ 10年経ちますがマイルドヤンキー文化(笑)は今でも馴染めませんわ。
#
コメントありがとうございます。
馬三人さんの地元もそうなんですねぇ。
僕の地元が特にそういう傾向があるのかと思っていましたが・・・
ちなみに、僕の地元はマイルドヤンキー文化はありませんが、不良少年がそのまま都会に出ずに、大人になったような人はいます。
彼らは地元ではあまり受け入れられてないですが、早めに結婚して子供も作って・・・みたいな感じで、家庭はちゃんと(?)築いている様子。