先日、レビューを書きましたが、橘玲氏の『貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』 (講談社+α文庫)という本はとても勉強になりました。

レビューはこちら。
アーリーリタイア層も、法人化した方が税金は減るのか~『貧乏はお金持ち』を読んで~

『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』(幻冬舎文庫)

が続編的な位置づけだってことで読んでみました。

結論から言うと、それほど続編っぽくはなかったですね。

本書は2010年に発刊、2015年4月に文庫化されていて、その時の世相を捉えています。

勝間和代に代表される「自己啓発」のトレンドに疑問を呈することからはじまります。
人間の能力には限界がある。だから、「やればできる」という考えは間違っている。

たしかにその通りです。

僕自身、勝間和代の本は一冊も読んだことがありませんし、自己啓発系の本は若手の頃(いまも若手のつもりですが)何冊か読んだけど、役に立たなかったですねえ。
多少なりとも役立ってたら、いまもっと違った立ち位置にいたと思うのですが・・・
ところで、勝間和代女史は、いま何をしているんでしょうか・・・

それはさておき。

自己啓発ブームが起きる背景で、年越し派遣村やサラリーマンの鬱病みたいな、企業社会から零れ落ちる人間が出てきてしまっている。

そんな残酷な時代をどう生きのびればよいのか?

結論としては、下記の通りです。

1. 伽藍を捨ててバザールに向かえ
2. 恐竜の尻尾のなかに頭を探せ

「ふたつじゃないか?」とツッコミたくなりますが、まあ良いでしょう。

意味が良くわからないフレーズですが・・・

「伽藍を捨ててバザールに向かえ」というのは、既存の所属組織(会社等)に囚われず、そこから外(バザール)に出て、そこで評価を集める試みをしなさい、ということだと思います。

「恐竜の尻尾のなかに頭を探せ」というのは、頂点に立つことを目指すのではなく、自分の得意な分野、好きな分野で生き残るべき道を探しなさい、ということでしょうか。

かなり乱暴に要約していますが、言っていることは、まあそんなところでしょう。
意外性はないですが、橘氏がかなりのストリーテラーで、進化論やら、ゲームの理論やら、遺伝子生物学やらを援用しつつ論を展開するので、つい引き込まれてしまいます。

ただ、入り口の自己啓発無用論から、上記の2つの結論に至るのに、現代科学の学説を借りる必要があるのかはちょっと疑問でしたが・・・

『貧乏はお金持ち』の続編と言うよりは、橘氏の最新刊の『「読まなくてもいい本」の読書案内 ――知の最前線を5日間で探検する』の素稿という感じがしました。

橘氏の本は大抵そうなのですが、非常に説得力があって、読んでいて納得感は高いのですが、「で、どうやればいいんだろう?」という段階になると、答えは与えてくれません。
まあ、著者にそれを求める方がおかしいんですけどね。

『「読まなくてもいい本」の読書案内』のレビューは改めて書きます。


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