リタイアを考えるようになってから、「幸せって何だろう?」ということを本気で考えるようになりました。
そんなこんなで幸福論に関する本を読んだりもしています。

欧米人の書いた幸福論を読むと、大筋は納得しつつも、どうしても腑に落ちないところが残ったりします。

『しあわせる力 角川SSC新書 禅的幸福論』(玄侑 宗久)は、日本人の書いた、日本人のための幸福論と呼べるかもしれません。
ただし、著者は「幸福」という概念自体が、西洋の発想だとお書きになっているので、この書き方は正しくないかもしれません。
それこそ、日本人にとっては、タイトルの「しあわせる」という発想がぴったりくるわけですが。

玄侑宗久氏は、芥川賞作家として有名ですが、福島県三春町福聚寺副住職も勤められています。
東日本大震災以降の発言、活動も注目を集められています。
この本が書かれたのは震災前ですが、震災後にこそ本書で書かれていることの重要性が実感できる気がします。

住職なだけあって、仏教的な世界観に則って「しあわせ」という事が語られています。
しあわせは「仕合せ」とも書きますが、目標を持って何かを追求していくというよりは、世の中のいろいろなことや、生きていくうえで遭遇する出来事や人間関係をうまく合わせていくことなんですね。

アマゾンの評価数は7つと少ないですが、評価は全て5つ星(!)という凄い本です。
アマゾンの評価は当てにならないけど、レビュワーの評価は誠実で、ステマではないと思います。

一点、気になったところを。
仏教的な世界観、日本の伝統的な倫理意識を評価するあまり、欧米的、キリスト教的な考え方には批判的です。
ただ、最近の欧米社会、学問研究をみても、本書で書かれていることと近しいことが起きていたり、語られたりしています。
いまは、必ずしも東洋的、西洋的という区分けができなくなってる気がする。

本書で書かれていることを、日本人が目からウロコ的に受け取れるとすれば、日本人が仏教的、日本的精神(と書くと曖昧かもしれません)を喪失しているからじゃないか?
そんな風に思えました。


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