東京のオペラ見納めは、『フィガロの結婚』@新国立劇場です。
モーツァルトの三大オペラのひとつで、超有名な作品です。
実は、20年近く前、地元の公演でこの演目を見たことあるんですよね。
佐藤しのぶがスザンナ役で、スザンナが妙に目立った演出でした(当然でしょうがね)。
なので、『フィガロの結婚』の主役はスザンナ・・・とまではいかないまでも、フィガロとスザンナのダブル主役みたいなイメージに刷り込まれてました。
超久々に観劇してみて、全然違うことがわかりました。
ちなみに、後部の座席は空席が多少目立ちました。
これだけ有名な演目で、新国立劇場で満席になっていないのははじめてかも。
さて、演出はかなりシンブル(簡素)で現代的です。
最初はゆがんだ白い四方の壁のみ。
オープニングで、そこに、段ボール(?)が積み上げられていきます。
途中で家具が入ってきたり、壁が傾いたりするんですが、縦、横、奥行、全てが垂直/平行になっておらず、ゆがんでいるんですよね。
意図的な演出なんでしょうけど、ちょっと気分が悪くなってしまいます。
『オテロ』と交代で劇場を使っているので、あえて簡素な演出をせざるを得ないのかな・・・とつい邪推。
でも、どんな舞台演出をしようが(?)、この作品って違和感があまりないんですよね。
堅牢な作品世界があるからこそ、舞台をどういじっても成立するんだと思います。
「堅牢」という表現はこの作品には適しないかもしれませんが、快活、滑稽、柔らかな印象のある本作は、実はかなり計算されたかっちりした作品であることをすごく実感しました。
登場人物が入れ代わり立ち代わり変わっていくんですけど、全然違和感がなく、うまく変化をつけながら音楽が流れていく。
これは、真の天才だからこそできるワザです。
モーツァルトの凄さを改めて実感しました。
肝心の音楽の方ですが、『ルチア』を観たときの圧巻はなかったです。
でも、登場人物はみな実力を備えていて、ハーモニーが心地よかったですよ。
特に、ケルビーノ役のヤナ・クルコヴァがとても良かったです。
ハッとする歌のうまさを備えつつ、外見もチャーミングなんですよねえ。
これから、劇場に通えなくなるのがちょっと寂しいですね。