ルチア

昨日。書きましたけど、新国立劇場で『ルチア』を観てきました。

新国立劇場の超お得なZ席ふたたび

特別みたい演目でもなく、チケット料金は高かったのですが、激安のZ席が取れたので、行ってきた次第。
実際に行ってみて、凄く良かったです!!

モンテカルロ歌劇場と新国立劇場との共同制作です。
海外から大御所を呼ぶと、いきおいチケットも高くなりますが、さすがにレベル高かったですね。

特に、ルチア役のオルガ・ペレチャッコ=マリオッティが素晴らしかったです。
有名なルチア狂乱の場は本当に鳥肌モノでした。
「ベルカントの新女王」という異名を取る方です。
ベルカントって、僕も知らなかったんですが、「美しい歌」「美しい歌唱」の意味で、イタリアオペラの理想的な唱法と言われているそうです。
具体的な定義は調べても良く分からないんですが、オルガ・ペレチャッコ=マリオッティ(長い!)の歌声を聴いていると「こういうことか」と身に染みて理解できる感じです。
ただ、この方はロシア人なんですよね。
ロシア美女らしい、すらっとしたスタイルの良い、色白の美人で、オペラ歌手としての実力に加えて、ビジュアルも良くて、スター性を兼ね備えていますね。

準主役的な、イスマエル・ジョルディ、アルトゥール・ルチンスキーも素晴らしかったですよ。
イタリア人、あるいはオペラの盛んな西洋人の歌手って、違いますね。
日本人が、後天的には得られない何かがある。
朗々とした歌声、声の伸び、抑揚、感情表現・・・
言葉にすると抜け落ちてしまうんですけど、身体感覚というか、言語に潜む音楽性というか、生得的に手にいられれる何かが違う。

それはさておき、演出も素晴らしかったですね。
映像技術を巧みに使いつつも、下手に主張することなく、原作の世界を引き立たせるものになっています。
舞台セットも、華やかさはないですが、作品世界を体現するシックで品のある屋内装飾、舞台となるスコットランドの美しくも荒涼たる風景がうまく表現できていました。

一流の人達が創った、一流の作品と言っても良いでしょう。

なお、本作は『ランメールモールのルチア』として上演されることが多いようです。
『ロミオとジュリエット』的な悲恋物ですが、実際に起きた事件をスコットランドの作家、ウォルタースコットが作品化したのをドニゼッティがオペラとして仕立てたものです。
『ロミオとジュリエット』の舞台はイタリア(ヴェローナ)ですが、イギリス人のシェイクスピアが戯曲にしました。
これとは逆で、スコットランド舞台のスコットランドの小説を、イタリアでオペラ化しているってことになりますね。
ちょっと面白いです。
ちなみに、原作『ラマムアの花嫁』が書かれたのが、1825年。
オペラ化されたのがその10年後です。

シェイクスピアよりも200年以降後なんですね。
イギリスでは産業革命が起こっており、ヴィクトリア朝が成立する前夜。

テーマは古典的(悪く書くと古臭い)ですが、ロマン主義的な激しい感情の発露や、耽美主義的な表現が見られますね。
それでも、ウォルタースコットの作品は、いまは「現代的な意義を持つ作品」として読まれてはいないですね。
本作は、現代社会が成立する前夜の作品として、「過去の遺物」的な要素はありますが、「偉大なる過去の遺物」であることは疑いない。

新国立劇場321


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