魚屋宗五郎

報告が遅れましたが、週末に、平成28年6月歌舞伎鑑賞教室「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)―魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)―」を観てきました。

それにしても、タイトル長いなあ・・・

国立劇場では、毎年、6,7月に夏休み企画として(?)鑑賞教室をやってくれます。

最初の30分ほど歌舞伎の観方と作品に関する解説があります。
20分ほどの休憩をはさんで、1~2時間程度の短めの演目をやってくれる。

ここ2年間通ったところでは、それが定型フォーマットのようですね。
上演時間は短めですが、入門講座だからと言って、決してレベルは低くありません。
比較的初心者でも楽しめそうな、分かりやすい演目が多いのが特徴と言えば特徴でしょうか。

さて、今回の「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)―魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)―」ですが、タイトルにあるように、怪談で有名な皿屋敷の物語を下敷きにしています。
姫路城に行ったとき、皿屋敷のモデルになった井戸があったのですが、今回の舞台は江戸です。
「あれ?」と思ったのですが、皿屋敷伝説は江戸にもありました。
「番町皿屋敷」が江戸の番町を舞台にしていて、「播州皿屋敷」が姫路を舞台にしてるんですね。
名前が似ていて、紛らわしい!
皿屋敷伝説は他の地域にもあるみたいなので、この2地域の専売特許でもないようです。

さて、本作は怪談ではありませんが、もともと各所に同様の伝説があるようなので、特定の物語を改変しているというよりは、言い伝えを元に作品化しているということでしょうか?

本作の主人公の宗五郎は、「皿屋敷」で惨殺された女性の兄という設定。

理不尽な殺され方をした妹を思う宗五郎が、禁酒を断って酒を飲み、旗本の磯部家のお屋敷に乗り込み・・・というストーリー。

宗五郎を中村橋之助が演じています。
酒を飲んでだんだん変わっていくシーンが見どころなんですが、歌舞伎の様式性に則りつつ、酒を飲んで酔っ払って正体を失くしていく男の様子は、現代の酔っ払いにも通じるリアリティーがあって、なかなか面白かったですよ。
ストーリだけ聞くと、真面目で深刻な物語に見えますが、結構コミカルなんですよね。

宗五郎は酔っぱらって旗本の磯部の前で悪態をついて寝てしまいます。
目が覚めて、しらふになって改めて話した時、磯部は宗五郎に手をついてわびるんですよね。

作者は河竹黙阿弥。明治時代の人です。
江戸時代だと、幕府の規制でこういうストーリー展開は許されなかったでしょうね。
時代劇でありながら、新しい時代の到来を思わせる物語の運びになっています。

単純な人情話としても観れますが、作品が描かれ、上演された時代精神を考えながら観ると、また別の面白さが浮かび上がってくるかと思います。

国立劇場初夏


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