『大エルミタージュ美術館展 | オールドマスター西洋絵画の巨匠たち』@森アーツセンターギャラリー
東京離れるのが残念なのは、美術館や博物館になかなか行けなくなることです。
もちろん、地方にもあります。
那覇にもあります。
でも、これだけ多種多様な美術館・博物館、ギャラリーがあって、いたる所で上質の企画展をやっているのは、日本広しと言えども東京だけです。
この展覧会が、東京生活の最後の美術展訪問となります。
実は、エルミタージュ美術館には10年ほど前に行ったことがあります。
素晴らしい美術館なんですが、とにかく広くて作品数が多い。
レンブラントやゴッホやモネなどの名作が、他の無名作品の中に、ポンと置かれていたりします。
半日以上かけて回ったんですが、完全に消化不良でした。
なので、「本場に行ったから日本でワザワザ見る必要はない」ということにはならないのです。
今回の展覧会は、ルネサンスから印象派の手前くらいまでの、古典絵画を復習するには良い展覧会だと思います。
ティツィアーノとかブリューゲルとか、有名画家の有名作品もありますけど、そうでないものの方が多いです。
ただ、無名(というよりは素人にはあまり知られていないというべきでしょうが)の画家の作品でも、日本人にも親しみやすい、良い作品が多いです。
モチーフに関しても、比較的、分かりやすい作品が選ばれていたと思います。
日本で普通の教育を受けている限りでは、
ヴェネチアルネサンスとフィレンツェルネサンスが具体的にどういう変遷をたどってきたのか、それぞれどう違うのか、とか、バロック、ロココ、新古典主義、ロマン主義、写実主義といった変遷が何を原動力にして、どのような変化を辿ったのかとか、そういう西洋美術の基本的なことが、ちゃんと理解できないんですよね。
(断片的な情報としては教えてもらっても、体系として理解できない)
まあ、日本人として、そういう教養を身に着けることは必須ではないんですけど、知っておくことは人生を豊かにするし、絵画を鑑賞するときも有用です。
本展覧会は、その辺のおさらいができてよかったと思います。
さて、展覧会では。エカチェリーナ女帝の肖像画のみ撮影可能でした。
そうそう、あと、ロマノフ王朝時代のロシアというのはとても面白いんですよね。
繁栄と滅亡のドラマが、実に歴史ロマンを喚起させてくれるんです。
あと、六本木ヒルズの上層階にあって、展望も一緒に楽しめます。
『大エルミタージュ美術館展 | オールドマスター西洋絵画の巨匠たち』@森アーツセンターギャラリー
展示品の質 | ★★★★☆ | 有名作品ばかりではないけど、良いものが多かったです |
展示数 | ★★★☆☆ | ちょっと少なかったかな。 |
雰 囲 気 | ★★★★☆ | オーソドックスな展示でした。 |
演出&解説 | ★★★★☆ | 詳しくはないけど、簡潔で要領を得た解説でした。 |
交 通 | ★★★★★ | 六本木ヒルズという東京の中心にあって、便利です。 |
入場料(CP) | ★★★☆☆ | 当日一般1600円は、それなりかな。 |
総評 | ★★★★☆ | オーソドックスな良い企画展だと思いますが、インパクトはないですねえ。 |