江戸東京博物館の江戸と北京-18世紀の都市と暮らし
あまり話題になっていない、地味な展覧会です。
北京の「首都博物館」と、江戸東京博物館のコレクションを展示しています。
首都博物館の展示だけだと成り立たないのか、博物館の名称に合わせる必要があったのか、「江戸と北京」という2つの都市を比較する企画展となっています。
結論から言うと、こうした企画を立てたのは結構成功しているかな・・・と思います。
平日の昼間に行きましたが、混雑具合はそこそこというところ。
特に目玉の作品があるわけではなく、テーマも地味ですから、このくらいで妥当でしょうね。
さて、北京には何度も行っていますけど、江戸・東京とは全然違うと思いますね。
むしろ、北京に近いのは京都だと思います。
ただ、むしろ違いからこそ、各都市の特徴が浮かび上がってきます。
この展覧会は18世紀の東アジアの首都同士を比較展示するという意味合いで、勉強になるところが多々ありました。
紫禁城は方眼状に建物が並んでいるけど、江戸城はらせん状に作られている。
城下町としても、北京では故宮に近い一等地に胡同(フートン)という庶民の下町があるけど、江戸はお城付近は大名屋敷が配されている。
北京はイスラム教徒はじめ外国人を内包していたが、江戸は外国人の出入りは厳格に管理されていた。
共通点よりは、むしろ違いが目立ちます。
むしろ、北京の方が普遍的な都市構造に近いと思います。
そういう意味では、比較展示の中で、江戸という都市の特殊性が浮かび上がってくると言っても良いでしょう。
18世紀の北京と江戸では、いずれも長期安定政権が実現することで、庶民も安定した生活を送ることができるようになりました。
庶民レベルまで教育が行き届くのですが、北京にも寺子屋みたいな子供向けの学校が存在しているんですよね。
で、両者に関する絵画が残っているのですが、どちらも子供がわんぱくで、勉強しないんですよね(笑)
古今東西、子供が勉強しないのは変わらないんだなあ・・・と納得しました(笑)。
当時の江戸も、中国の科挙のような国家試験が導入されたんですが、実際にそれが出世の道が約束されるものではなく、定着しなかったそうです。
これは知りませんでした。
18世紀の江戸と北京という、巨大都市(当時としては)の比較から、様々なことが見えてくる、勉強になる展覧会でした。
この展覧会を見ることで、理解も深まったんですけど、逆に分からないこともたくさん出てきてしまいました。
今回の展覧会に限らずですが、物事って、知れば知るほどわからないことが増えていくものですね。
入り口には、何故かモンチッチが・・・
客寄せかもしれないけど、変にキャラに走らないで欲しいですね(笑)
展示品の質 | ★★★☆☆ | とくに有名な作品もないし、歴史的に重要な物品もないかなあ。 |
展示数 | ★★★☆☆ | そこそこってところ。 |
雰 囲 気 | ★★★★☆ | 絵巻を拡大して壁紙にするとか、工夫が見られました。 |
演出&解説 | ★★★★☆ | 解説が親切で勉強になりました。 |
交 通 | ★★★☆☆ | 両国駅から近いです。 |
入場料(CP) | ★★★☆☆ | 一般1,400円は妥当なところ。 |
総評 | ★★★☆☆ | 個人的には四つ星だけど、一般的に面白いかというと疑問なので、マイナス1。 |