「草間彌生展 わが永遠の魂」(国立新美術館)
六本木に行く用事があったので、ついでに行ってきました。
こう書くと、いかにも優先順位は高くないように思われるかもしれませんが、実際にそうでした。
草間彌生って、「あの水玉模様の人」「髪を赤く染めた派手なおばあさん」くらいのイメージで、作品に対してはさほど知らなかったし、知ってる作品も特別良いとは思わなかった。
「パフォーマンスのうまいアーチストかな?」なんて思ってました。
ただ、行った友達が画像をSNSにアップしていて(一部撮影可)、それが素晴らしかったので、寄ってみた次第。
結論か言うと、素晴らしかった! です。
さすがは世界で認められた現代アーチスト。
メイン会場は、「わが永遠の魂」という連作130枚が一気に展示されていて、圧巻です。
それ以外の展示作品は撮影不可でしたが、とても良かったですよ。
草間彌生って、子供のころから幻聴に悩まされ、あの水玉模様も幻覚としてみたものなんですねえ。
水玉模様も、可愛らしさの中に、どこか不安定なものがあるのは、そういう事情によるものなんですね。
本当に、凶器というか、異常性というか、そういうものを抱えた芸術家なんですね。
ダリのようなシュールレアリストは、狂気というのは、自作自演というか、パフォーマンス的に利用しているところがある気がします(別に批判で書いてるのではないですよ、ダリも、他のシュールレアリスムも好きですから)が、草間さんは精神病院に入って書いている本物ですからねえ。
徐々にいまの水玉や網の目の表現に到達する経緯が分かって、興味分かかってです。
あと、お客さんが自分で水玉マークを貼って作品を完成する企画があったり、屋外に有名なかぼちゃの展示があったり、企画自体も工夫されていました。
現代アートは、古典的な「鑑賞」の枠を超えて、いかに体験を共有していくのかという視点が重要だと思います。
その点でも、この美術展は、お手本になるような企画展と言えるでしょう。
草間彌生のギョロっとした目つきはピカソを彷彿とさせますが、一連の作品を鑑賞していると、同じ美術館で企画展のあったニキ・ド・サンファルを思い出させます。
作風は違いますけど、自身の病的な部分をカラフルな色彩と原初的な形態に昇華して作品化しているという点で共通点があwる気がするんです。
「草間彌生展 わが永遠の魂」(国立新美術館)
展示品の質 | ★★★★☆ | 人によって好き嫌いはあるかもしれませんが、素晴らしいかったです。 |
展示数 | ★★★★☆ | 「わが永遠の魂」はじめ、多くの作品が展示されてました。 |
雰 囲 気 | ★★★★☆ | 作品を中心に据え、なかなか良い雰囲気を醸し出してました。 |
演出&解説 | ★★★★★ | 現代美術のお手本になるような素晴らしい企画・演出でした。 |
交 通 | ★★★★☆ | 乃木坂駅に隣接。六本木からもさほど遠くはない。 |
入場料(CP) | ★★★★☆ | 当日一般1600円はそこそこしますが、質を考えれば適正。 |
総評 | ★★★★☆ | 実質は4つ星半くらいかな。好き嫌いはあるかと思うけど、オススメの企画展です。 |