東京都写真美術館05
杉本博司 ロスト・ヒューマン

『世界報道写真展2016』のついでに行ってきました。

新しくなった東京都写真美術館の『世界報道写真展2016』は安定のクオリティー

でも、「ついで」というのが申し訳ないくらい良い展覧会でした。

杉本博司の作品はジオラマシリーズを知っているくらいで、ほとんど知りませんでした。

僕の嗜好とたまたまマッチしていただけなのかもしれませんが、今回の展覧会は凄かったです。

言葉で表現するのは難しいですが・・・
3階のメイン展示では、さびたトタンで仕切られた各展示ブロックに、昭和レトロなポスター、家具などのモノを配置しながら。一昔前に流行ったディストピア的な未来像が、レトロな演出で表現されている。
この作り込みは凄いと思いました。

各展示には「今日、世界は死んだ。もしかすると昨日かもしれない」という、カミュの『異邦人』のオマージュと思しきフレーズではじまる解説文(?)が添えられています。
文学的で読ませる文章だなあ・・・と思っていたら、各界の大御所の方々の「代筆」のようですね。

杉本氏の頭の中には、ひとつの終末的な未来世界があって、それをひとつひとつアートという形で切り取って行ったらこの展示になった、という感じです。

2階は写真作品が展示されています。
仏像と廃墟になった映画館のモノクロ写真。
後者は上映される(?)映画の解説が床に貼られている。

杉本博司ロストヒューマン

全体として、杉本氏の傑出した創造性が伺える良い展覧会でした。
杉本氏は日本のモダンアートの表現者の中で、古典となる可能性を秘めた数少ない存在ではないかと思います。

というのも、各作品が深い世界観から現出しているからです。
直島の神社再興に関する映像を観ていても感じたのですが、杉本氏は常に起源と行く末(未来だったり終末だったり)を意識し、テーマにしている人なんだな・・・と思います。
僕が「古典になる可能性がある」というのはモダンアートでありながら不変のテーマに基づいているからなのです。

展示品の質 ★★★★★ 僕の個人的な趣味もありますが、とてもレベルが高いと思います。
展示数 ★★★☆☆ インスタレーションを数で評価するのは難しいですが。
雰 囲 気 ★★★★★ 好き嫌いあると思いますが、独特の世界観に基づいて全体がデザインされています。
演出&解説 ★★★★★ 3階の展示の作り込み感が凄い!
交  通 ★★★☆☆ 恵比寿という利便性の良い場所にありますが、駅からちょっと歩きます。
入場料(CP) ★★★★☆ 一般1000円は良心的です。
総評 ★★★★☆ 5つ星つけようかとも思いましたが、私見が入り過ぎてるかと思い、ひとつ減らしました。

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