印象派美術に興味を持ち始めたころ、最初に好きになったのがルノワールでした。
でも、美術好きの間での会話で「ルノワールが好きです」というと、ちょっとバカにされそうな気がします。
ルノワールの作品の質が低いというわけでは決してありません。
通俗性が高く、分かりやすい。
だから、「ルノワールが好き」というと素人だと思われかねない。
ルノワールのせいではなく、ルノワール的な世界が模倣されたり参考にされたりして、俗化したからじゃないだろうか?
僕の勝手な印象かもしれません。
実際、美術が好きになってくると、ルノワールから離れて行きました。
まあ、僕の場合は特に詳しいわけではないのですが・・・
新国立美術館で『ルノワール展』が開催されています。
そのことは知っていましたが、上記のような状況だったので、行く予定はありませんでした。
そんな中、女友達に「行かない?」と誘われたので、行ってきました。
「特別行きたいわけではないけど、行っても良いかな?」くらいの気分でした。
実際行ってみると・・・
とても良かったです!
何よりよかったのが、展示作品の質が高いことです。
画集や美術の教科書で見かけるような有名作品が揃っています。
だからといって、新鮮味がないわけではありません。
実物を見てみると、複製では分からない色の微妙な加減やタッチがビビッドに分かります。
特に、目玉のムーランド・ラ・ギャレットは実物はハッとするような美しさでした。
<写真は撮影スポットの複製です>
それにしても、ルノワールは幸せな人だったんでしょうね。
作品から、前向きさ、明るさが伝わってきます。
実際、妻子にも恵まれていたし、当時としては長寿だったようです。
晩年の裸婦は、じいさんが描いたとは思えないような瑞々しさを湛えています。
でも、晩年になるほど、女性のボリューム感が増しているんですよね。
ルノワールの妻、アリーヌ・シャリゴもかなりぽっちゃりした体型なので、ボリューム感のある女性が好みなんでしょうね。
歳を取るほど、好みがはっきり出てくるものなんでしょうか?
数は多くないですが、ルノワール以外の画家の作品も展示されています。
それらも、どれも質が高いものでした。
フランス、特にパリに行きたくなるような、異国情緒を高めてくれる良い展覧会でした。
作品の質 ★★★★★(他の画家の作品も含めてレベルが高かった)
作 品 数 ★★★★☆(数は多くはないけど、大型の油彩画が多かった)
雰 囲 気 ★★★☆☆(まあ、普通ですかね)
演出&解説 ★★★★☆(カテゴリーが整理されていて、系統的に学べます)
交 通 ★★★★☆(最寄駅は、六本木、乃木坂と都心。六本木から多少歩くので4つ星)
入場料(CP) ★★★★☆(作品の価値を考えるとCPは高いです)
総 評 ★★★★☆