上野は若冲展とか、カラバッジョ展とか、人気の展覧会が開催されています。

そんな中、東京国立博物館の平成館で、特別展 生誕150年 黒田清輝-日本近代絵画の巨匠がひっそりと開催されています。

黒田清輝展

そんなわけで(?)、週末に行ってきました。
あまり知られてないですが、そこそこ人は入っていましたよ。
行列来るほどでも、鑑賞に支障があるほどでもなかったですが。

意外に(というと失礼ですが)良い展覧会でしたよ。
黒田の有名な作品がちゃんと展示されているし、焼失した東京駅の壁画を写真をもとに再現を試みたり、アトリエを再現してみたりと、展示の仕方もいろいろと凝っていて、見ごたえあります。
黒田が師事したラファエル・コランの作品をはじめとして、ミレーやモネなど、黒田が影響を受けた西洋絵画の展示もあって、なかなか優れていました。

日本絵画の近代化に尽くした人だけあって、時系列順に作品を観ていると、日本の洋画の発展と重なって見えてきます。
僕は日本の洋画はあまり認めてないのですが、黒田清輝は野暮いところがあまりないので、良いと思います。

フランス時代の絵画は独自性がなくて、模倣性が高いですが、日本に戻ってから、どうやって西洋絵画を日本の風土に馴染ませていくかという試行錯誤の過程が見えてきます。
そうした中で、独自の画風が確立されていっているように思います。
この人は「日本絵画の近代化」という重責をになっているためか、破壊的なところがなく、品が良いんですよね。
それだけに、物足りないところもあると言えばあるのですけど。

黒田の裸婦が当時の日本で物議を醸し、展覧会では下半身に布をかけられたという事件があったそうです。
春画で露骨な性器を描写してきた日本人がなぜ?
と思うのですが、春画は個人でこっそり見るもので、展覧会に裸体画が展示されるのは風紀を乱すというそういう区分けだそうです。

西洋絵画を観ていて不思議に思うのですが、エロい裸体画が「芸術」として公衆の目に晒される場に配され、インテリたちがそれを鑑賞するんですよね。
19世紀までは、神話や聖書の世界を題材している限りは裸体は芸術として捉えられたそうですが・・・
20世紀になってから、普通の女性の裸も芸術として認められるようになった。
マネの「オランピア」がフランスでも物議を醸したというのは有名な話です。

日本でも、「猥褻か?芸術か?」みたいな論争が良くなされていますが、こういう論議自体が、西洋の「裸体は芸術」という文化を受け入れているからなんですよね。
いまだに、この価値観は、日本人の僕には良く分かりません・・・

そういえば、ろくでなし子の判決が出ましたね。
ろくでなし子被告、女性器作品の陳列無罪 データは有罪
芸術だろうがそうでなかろうが、本物であろうが作り物であろうが、性器は露出しちゃダメ!
という明確な基準があればシンプルなんでしょうが、不思議な攻防戦はいまだに行われています。

黒田清輝-日本近代絵画の巨匠@東京国立博物館

作品の質  ★★★★☆(常設展も含めると★★★★★)
作 品 数  ★★★★☆(常設展も含めると★★★★★)
雰 囲 気  ★★★☆☆
演出&解説 ★★★★☆
交  通  ★★☆☆☆ (駅からちょっと遠い)
入場料(CP) ★★★☆☆

総  評  ★★★★☆

余談ながら、東京国立博物館の常設展示は素晴らしいです。
じっくり見て回れば、丸一日楽しめて、歴史や地理の勉強にもなります。
詳しくは下記の本を読んでくださいな。

黒田清輝展


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