☆☆ ブログ 沖縄移住で人生リセット からの転載です ☆☆
先日、桜坂劇場の紹介をしました。
でも、肝心の映画の話はしませんでしたね。
観てきたのは、『カタブイ 沖縄に生きる』という映画です。
沖縄を舞台とするドキュメンタリー映画で、監督はダニエルロペスというフランス人です。
旅人として沖縄を訪れ、沖縄に10年以上住んだ写真家・映像作家。
ナレーションはフランス語で、本人がやってます(たぶん)。
ビデオカメラさえ回せば、いくらでも映像が撮れる現代ですが、映画館でお金を払う価値のある作品を撮るのはなかなか難しいと思います。
本作に関しては、ネットで調べても一般観客のレビューはほとんど見当たりません。
せっかく沖縄に来たんだから、こういう映画を観てもいいか。
外れだったら外れでしょうがない。
そんな軽い感じで観てきました。
いやー、良い映画でした。
本職なだけあって、映像も構成もしっかりして、丁寧に作られています。
何よりも「愛」がありますね。
彫刻家・ミュージシャン・空手家・琉球舞踊・オバアラッパー・・・
沖縄らしい活動をしている沖縄の人々を取材するのですが、ひとりひとりが個性的で魅力的、かつ深いものを持っていす。
全体が筋が通っていて、これらひとりひとりの個性が著者が見た沖縄の全体像を形づくっていっている感があります。
濃い伝統文化と、波乱の歴史を持ったこの地ならではだと思いますね。
前半は平和活動とか、米軍基地反対運動とか、ちょっと政治色が濃いので、「そっち系の映画?」と思ったんですが、中盤以降は政治色は後退してます。
沖縄独自の文化もありますが、家族や先祖崇拝を大切にしたり、地域コミュニティの繋がりを尊ぶのは沖縄に限らず、日本の地方文化に強くあったものなんですよね。
この映画をは、自分自身が失ってきたものが描かれているようにも受け取れました。
これを、例えばフランス人が見た場合、ナレーションは母国語で、沖縄の人達の言葉は字幕は吹き替えになります。
ポジネガが反転する形になるわけですけど、これは作品で描かれている世界も同様なんですよね。
フランス人、あるいは東洋文化から遠い外国人から見ると「自分たちには異国の独自文化」と見えるのでしょうか?
いずれにしても、育った文化的背景によって違った見え方をする作品なんでしょうねえ。
普通に那覇で生活する限りは、東京や他の地方とあまり生活は変わらないんので、この映画で描かれている「沖縄らしい沖縄」というのは、行くところに行かないと会えません。
でも、日々の生活の中でも、シーサーは至る所にいるし、大きな亀甲墓は良く目にするし、催事の度にスーパーにはお供え物パックが売り出されます。
都市化された那覇の中心部でも、この映画で描かれている世界とはしっかり繋がってるんですよね。
ちなみに、映画のタイトルになっている「カタブイ」という言葉は、天気をあらわす言葉です。
漢字で書くと「片降い」です。
沖縄独特の天気でもあるので、説明しにくいんですが、晴れていたかと思うと、突然降りはじめるスコールのようなもんです。
著者がどうしてこの映画のタイトルに「カタブイ」と付けたかは定かでないんですが、突然不慮の出来事が起こってしまう沖縄の歴史をこの天候に込めているのか、監督自身の存在を「カタブイ」とみなしているのか・・・いずれにしても、多義的で魅力的なタイトルです。