万引き家族

カンヌ国際映画祭で是枝裕和の『万引き家族』がパルムドールを受賞しましたね。
早速、先週末先行上映で観てきました。

たしかに、素晴らしい映画で、パルムドールにふさわしいです。
前作の『三度目の殺人』は賛否ありましたが、僕は是枝監督の新しい境地を切り開く作品として、高く評価しています。

このまま作風が変わっていくと思っていたのですが、『万引き家族』は是枝監督の過去作品の集大成的な作品となっています。
逆に言うと、既視感があるんですよね。
僕自身は、本作でなくても、『誰も知らない』、『空気人形』、『そして父になる』あたりで、パルムドールを受賞しておいても良かったと思いますね。

さて、本作、受賞時にちょっとした物議を醸しました。
概要は下記の記事にある通り。

カンヌ受賞でもネトウヨは是枝裕和監督と『万引き家族』が大嫌い! 安倍首相は無視、百田尚樹と高須克弥はバッシング

共同体文化が崩壊して家族が崩壊している。多様性を受け入れるほど成熟しておらず、ますます地域主義に傾倒していって、残ったのは国粋主義だけだった。日本が歴史を認めない根っこがここにある。アジア近隣諸国に申し訳ない気持ちだ。日本もドイツのように謝らなければならない。だが、同じ政権がずっと執権することによって私たちは多くの希望を失っている

現地で是枝監督はこのように語ったそうです。
でも、確認すると、受賞スピーチの場とかで、公式的に語ったのではなく、メディアのインタビューで語ったものみたいですね。
しかも、掲載されているのは中央日報(韓国のメディア)ですねぇ。

僕自身、最後の3文は言わなくても良かったとも思います。
ただ、個人の意見として言ったところで、目くじら立てることでもないかなあ・・・とは思います。

まあ、百田尚樹さん自身が仰るように、この発言は「映画とは関係ない」発言なので、作品の価値とは切り離して考えるべきでしょうね。

一方、高須クリニック院長の高須克弥氏はこのようなツイートをされてます。

万引き家族で日本人のイメージを作られるのは嫌です。日本人は勤勉で正直で礼儀正しいです

うーん。
前半は分かるけど、後半は疑問ですね。

日本は、国家の中枢にいる人たちが公文書を改ざんしたり、社会的地域ある人がセクハラしたり、日本最大の大学の部活で監督が生徒にルール違反を命じて相手チームの選手を怪我させたり、幼い子供を親が虐待死させたり、いじめ自殺のメモを教育委員会が隠ぺいしたりしてますからねえ・・・

もちろん、高須院長の仰るように、日本人は勤勉で正直で礼儀正しい人が多いと思います。
でも、寛容さ、行動力、規則やルールに囚われない柔軟さには、欠けている傾向があります(あくまでも「傾向がある」ということで、みんながそうというわけではない)。

で、映画ですが、別にこの作品は万引きを容認しているわけじゃないです。
むしろ、逆です。
後半の展開をみれば、それは自明の理です。

この映画に出ている家族は、たしかに法を犯しているし、社会的に問題のある行為を沢山行っている。
でも、現代日本人が失ってしまった、良さも兼ね備えています。

多くの人は、映画を観ずに批判しているんだと思いますが、批判する前に映画を観て欲しいですよ。

「万引き家族」の夫婦が、両親から虐待されている少女を拾って自分の子供として育てるんですが、これはまさに今回の目黒虐待死事件を先取りしていると思いますよ。
映画の中の少女は一旦は、犯罪者の家族によって救われたんですよね。

文学も映画もそうだと思いますが、暗部や弱者に目を向けることがひとつの存在意義だと思っています。
時刻が抱える問題に真剣に向き合うのが真の愛国心だと思いますね。

そういう意味で、僕は『万引き家族』は、「反日映画」などではなくて、むしろ「愛国映画」というか、「憂国映画」だと思っています。
ただし、「国策映画」ではありませんが・・・


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