BSプレミアムで最近やっていた『誘う女』を録画してたんですが、やっと観れました。

うーん。
良い映画だったなあ・・・

ジャンルで言うとサスペンス映画ってことになるんでしょうね。
1995年の作品なんですが、20年後の現在の方がサスペンス映画は手の込んだつくりになっています。
正直、ストーリー展開は単調な感じは否めないんですよね。

ただ、構成は良く考えられていて、主人公を含む、登場人物がそれぞれの立場から語ることによって、全体像が浮かび上がってくる。
いわば、『羅生門』みたいな構成なんですが、『羅生門』が真相が曖昧にされるのに対して、本作は徐々に真相が明らかにされる構成です。
これがうまくできているので、作品にしっかり引き込んでくれるんですよね。

さて、ストーリーは下世話で、主人公のスザーン・ストーン(ニコール・キッドマン)は目立ちたがりで、勤務するケーブルテレビ会社で、半ば強引にお天気お姉さんのポストを獲得。
人気を博すが、スザーンはニュースキャスターになって、もっと有名になりたいと考えている。
夫はそれに理解を示さず、いずれ、夫の存在がスザーンの邪魔になってくる。
客員講師として招かれた高校の男子生徒を誘惑して、夫を殺させる・・・

誘惑される少年というのが、家庭が恵まれていない、パッとしない生徒なんですよね。
鬱屈とした学生生活の中で、美人の年上の女性に誘惑されて、コロッといってしまう気持ちは、ある意味必然的な感じもします。

ニコール・キッドマンがどうしようもないビッチ女を演じてるんですが、これが凄いんですよね。
溢れる魅力がないと、男がコロッと騙される女として成立しない。
一方で、魅力だけだと空疎なバカ女として成立しない。
美人でセクシーだけど、単純でバカで、でも自己顕示欲を達成するためには、恐ろしく知恵が働く。
そんな役割をほぼ完璧に演じています。

ニコール・キッドマンは本作以前は無名の女優だったみたいですが、本作でゴールデングローブ賞を受賞。
以降、有名作品に出演、『めぐりあう時間たち』でアカデミー主演女優賞を受賞します。
「有名になりたい女性」を完璧に演じられた背景には、彼女に同様な野望があったからかなあ・・・なんて思ってしまいますね。

実は本作は、実話がベースになってるそうです。
脚色は入っているようですが、22歳の女性が、教え子の15歳の男子高校生を誘惑して夫を殺させた、という大筋は事実のようです。
スキャンダラスな事件だけに全米でも話題を集めたらしいです。
女性は典型的な悪女、毒婦として捉えられてるんですが、実態はそうでもなかったようです。

ただ、映画では、典型的な自己顕示欲の強い、バカだけど小賢しくて、可愛らしい悪女になってますね。

この映画でもうひとつ注目したいのが、テレビ全盛の時代に「テレビに出て有名になる」という欲望を全開に主人公が出てくる点です。
この映画のエンディングは、主人公だけでなく、世の中がいまそういう時代になっていることが示唆されます。

いまは、テレビの力は当時より下がってるかもしれないけど、YouTubeだの、SNSだの、新しいメディアが誕生して、誰でも目立ち、有名になるチャンスが与えられている。
そういう意味で、いまでも現実味のある作品だと思います。
さらに言えば、より現代的な形で、本作をリメイクすることも可能じゃないかと思います。


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