すれ違いのダイアリーズ

那覇の桜坂劇場では、会員は月曜日には800円という安値で映画が観れてしまいます。

そんなわけで、仕事あがりに行ってきました。

観たのは、タイ映画『すれ違いのダイアリーズ』。

仕事あがりに上映している作品はあまり数ないので、消去法で選択した感じです。
東京に住んでたら、おそらく観なかったであろう作品です。

でも、観て良かった!

とても良い作品です。

田舎の湖水地方(と言っても観光地ではなく、さびしい漁村)の水上小学校に赴任して、苦戦しながら奮闘する若い女性教師のエーンと、その後任の青年ソーンの2人が主人公です。
この2人のラブストーリーと言えるわけですが、この2人はすれ違っていて、会わないんですよね。
エーンが学校に残した日記をソーンが見つけて、それを読んで、ひそかにエーンに恋に落ちる・・・

ちょっと浮世離れした設定なんですが、湖水地方の美しい風景と、タイの田舎の素朴な世界をバックにしていると、ちょっとムリな設定でも、素直に受け容れられてしまうからフシギです。
アメリカや日本映画で、都会を舞台にした映画だと、ちょっと不自然で妄想めいた作品になっちゃうんでしょうねえ。

ただ、映像は洗練されていて、非常に丁寧に作られていることがすぐわかります。
シーンのひとつひとつが美しいし、意味を持っている。
岩井俊二を思わせるような映像でした。

特に、終わり近くの踏切の長回しのシーンなんて、登場人物の心理変容と周囲の環境が絶妙にマッチしていて、センスの良さが感じられます。
「発展途上国の素朴な映画」なんて評価はそぐわない(まあ、タイ自体がもはや発展途上国とは言えないかもしれませんが)くらい、丁寧に作り込まれてます。

こういう設定の映画って、ベタに落としてしまうと、逆に白けてしまったりするんですが、その辺の抑制もうまく効いてますね。

結末はある程度読めてしまうんですけど、途中で「あれ、別の方向に行くのかな?」と思わせるような展開を見せたりします。
起伏の激しい映画ではないけど、ちょっとした緩急を積み重ねていくことで、最後まで退屈しない作品になってます。
日本の映画監督でも、これができる人ってあまり多くないと思います。

冬ソナは観てませんけど、日本人がこの映画を観て感じるところは近しいところがあるかもしれません。
純愛とか素朴さみたいな、経済成長と文化の成熟によって、日本映画が失ってきたものが、まさにここにある感じ。

もしかすると、この映画は若い人よりは、僕らと同じか、それより上の世代に受ける作品かもしれないなあ・・・と思います。

ただ、上に述べたように、映像のつくりは現代的で凝っています。
この対照があるから、ノスタルジックでありながら新しさを感じさせる独特の雰囲気を持った作品になっているんだと思います。


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