☆☆ ブログ沖縄移住で人生リセット!の再録です ☆☆
「沖縄って面白いなあ!」と思うのは、これだけの人口規模、経済規模でありながら、独自の映画や本や音楽が生み出されていて、ちゃんと市場として成立していることです。
桜坂劇場で、『まぶいぐみ〜ニューカレドニア引き裂かれた移民史』が本日から公開されてます。
初日は上映後にシンポジウムがあるので、この日を選んで行ってきました。
座席は9割くらい埋まってました。
沖縄の映画館でここまで埋まっているのは初めてです。
まあ、関係者や、関係者の仲間たちもたくさん来ている感じではありましたけどね。
さて、本作はドキュメンタリー映画。
沖縄は歴史的に海外への移民が多いことで有名です。
でも、ニューカレドニアへの移民があったことをは意外に知られていません。
僕もこの映画を観るまで知らなかったし、実際、県民もあまり知らないんだそうです。
ニューカレドニアにはニッケル鉱山があって、日本からも結構な数の出稼ぎ労働者が行ってたんですね。
で、その中の5分の1くらいが沖縄の人だったんだそうです。
中には、現地で結婚して定住し、家族を持った人がいる。
実は、その後、悲劇に見舞われます。
Wikipediaを引用しましょう。
第二次世界大戦では、ニューカレドニアは自由フランスの側に付いたため、太平洋戦線でのアメリカ軍の拠点となった。
島にはフランスと違うアメリカの文化や物資が豊富に流入した。この出来事は、フランス人支配下であえいでいた現地人には肯定的に受けとめられている。
一方、日本人労働者や日系人は「敵性外国人」としてオーストラリアなどへ強制移送された人や、戦中の交換船により日本へ帰国した者や敗戦まで捕虜として収容された者もいた。
まさに、沖縄からの移住組はニューカレドニアにはいられなくなり、収容所に入れられたり、沖縄に強制送還されたりしたんですね。
そういう悲劇に見舞われているわけですが・・・
映画の中では、悲劇は描かれつつも、決して悲観的ではありません。
帰国してから再婚して、改めて家族を持った男がいたり、元々家族を持っていたのに、ニューカレドニアで相手を見つけて移住した男もいる。
一旦、沖縄に戻った後、ニューカレドニアに呼び戻された男もいる。
これが面白いところなんですが、ニューカレドニアの家族が沖縄を訪ねて、沖縄側の家族と交流したりしているんですね。
これはちょっと驚きました。
男が離婚して、再婚した後、前妻の家族と、後妻の家族が家族ぐるみで交流しているってことですからねえ・・・
国内での結婚、再婚ではちょっと考えられないし、沖縄ではなく、本土の他の都道府県であれば、こういう交流はないのかもしれません。
沖縄の大家族制度、南国的な男女関係にあまり固執しない文化・慣習が影響しているのでしょうか?
本作がドキュメンタリー映画としての完成度は必ずしも高いとは思いませんが、「これまで知らなかった沖縄を知った」ということと、「沖縄人でさえ知らない事実を知った」という、二段階で発見があった映画です。
しかし、こういうマイナーな映画が良く作られましたねえ。
ちなみに、タイトルの「まぶいぐみ」とは「魂込み」と書きます。
魂を込めるという意味ですが、沖縄では「魂(まぶい)が落ちる」という考えがあるんですよね。
その落ちた魂を再び込めるのが、「魂込み」です。
上映後のシンポジウムも、時間は短かったですが、勉強になりました。