スモーク

レビューが遅れましたが、桜坂劇場で観た『スモーク』のレビューです。

1995年公開の映画のデジタルリマスター版。
単館上映の、しかもさほど有名でもない映画が、デジタルリマスター版がつくられ、しかも沖縄で公開されるというのは、ほとんど奇跡に近い!

現代アメリカ文学の騎手、ポールオースターの短編小説が元になっていて、ポールオースター自身が本映画の脚本も手掛けてます。
たしかに、雰囲気が文学的・・・というか、現代アメリカ文学的です。

煙草屋を営むオーギー・レンと、そこに集う男たちの物語です。
男たちはみんな過去に不幸を抱えていて、それを引きずっているんですよね。
オーギー・レンと仲間たちとの友情と、そこで出会う色々なことが状況を変えていく・・・

複数の登場人物ストーリーが交差しながら進んでいくんですけど、ひとつに収束していくようでありながらも、そうもならない感じです。
伊坂幸太郎の原作映画なんかだったら、伏線がどんどん回収されていって、ひとつに収斂していくわけですが、そこまで企みに満ちてはいません。
伏線は回収されながらも、それぞれのエピソードが投げ出されたままで終わってしまう。
逆に言えば、そこが観た人に解釈の余地を残して、余韻を残すところなのですがね。

パッと見た感じでは、アメリカ映画にしては、映像の作り込みがさほど凝ってなくて、ドキュメンタリー映画のように見えます。
「化粧ではナチュラルメイクが一番難しい」なんて言いますけど、本作は、そのままのスッピンではなく、あくまでも自然で、なおかつ美しく見せるナチュラルメイクを施した作品だと思います。

原作が『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』で、アメリカ人が好きなクリスマストーリーではあります。
ただ、クリスマスの華やかな感じはあまりなくて、ちょっとくすんだ感じの映像のつくりになってます。
でも、エンドロールまで観ると、しっかりとクリスマスストーリーになっていて、心温まる気分になって、観客は劇場を後にすることになります。

夏に観るにはちょっと違う感じの映画でしたが、良作だったと思います。


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