黒澤明というと、映画界では神のような存在です。
ルーカス、スピルバーグはじめ、ハリウッドのエンタメ路線にも多大な影響を与えると同時に、芸術性の高さでも評価されている、稀有な存在なんですよね。

でも、黒澤監督の作品の中には、ヒットしていない作品、評価されていない作品もたくさんあります。
そういう作品の中に、黒澤明の幅の広さを伺えるようなものもあったりして、面白いです。

今回レビューする『デルスウザーラ』は、アカデミー外国映画賞を受賞したり、作品としては高く評価されています。
ただ、あまり知られてもいないし、ヒットもしてない(はず)です。

この作品は、舞台はロシアで、俳優もロシア人、セリフもロシア語。
なので、黒澤明が監督ということを除くと、ロシア映画と言っても良いかもしれません。

ただ、世界観はかなり東洋的ですね。
そもそも、ロシアが西洋なのか、東洋なのかという議論もあるわけですが・・・

本作は、実際の探検記を元にした作品です。

ロシア人探検家(作者)のアルセーニエフは、当時ロシアにとって地図上の空白地帯だったシホテ・アリン地方の地図製作の命を政府から受け、探検隊を率いることとなった。先住民ゴリド(現ロシア名:ナナイ)族の猟師デルス・ウザーラが、ガイドとして彼らに同行することになる。シベリアの広大な風景を背景に、2人の交流を描く。

(Wikipediaより)

2時間20分と長めですが、ゆっくりとストーリーが進行していて、展開はあまりありません。
現在から見ると、冗長な感じがするかもしれませんが、黒澤監督の作り込まれた映像には魅せられます。
いまのハリウッド映画は映像技術が進化しているので、かなりディテールが作り込まれているものも多いですが、本作は1975年ですからねえ。

作品のコアとなるのが、タイトルにもなっている、デルスウザーラの生き方、考え方です。
デルスウザーラ自然と共に生きる、素朴な人間です。
外見はモンゴル人っぽくてアジア系ですねえ。
日本ではマタギのような存在。

自然崇拝的、自然賛美的な作品は、最近は宮崎駿なんかがありますが、その先駆的な作品とも取れます。
たんなるエコロジー賛美ではなく、「人はいかに生きるべきなのか?」というテーマが色濃く入っていて、しかも、押しつけがましくはなく、デルスウザーラの生き様から、自然と滲める形になっています。

映像の撮り方、主題の処理のし方等は技巧的でありながら、観る者には技巧を感じさせず、すんなりと感動として伝わっていくようにできています。
さすがは巨匠、黒澤明です。

まあ、こういう作品は当時だからということに加えて、黒澤さから撮れたんでしょうね。
過去を賛美していても生産的でないことは重々理解してますが、現在では成立しない類の作品だなあ・・・と思うと、ちょっと残念に思いますね。


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