録画していた『あなたへ』観賞。
こういうスタンダードな日本映画はこれまであまり好きではなかったんですが、年を取ったせいか、「こういうのも良いな」と思って観るようになりました。
老いの悲しさ、孤独感が出てますねえ・・・
10年前なら、本作の良さが理解できなかったと思うのですが、いまは多少は理解できます。
観ていて、『幸せの黄色いハンカチ』を思い出しました。
高倉健主演というだけでなく、
・夫婦の愛が描かれている
・ロードムービーで、旅の中での出会いが主人公を変えていく
という点で、世界観が似ているんですよね。
さらに、日本映画ではないですが、ストーリーは『星の旅人たち』とかなり似てますね。
愛する人を失くし、その位牌を海にまくために旅に出る。
旅先で出会いと別れがあり、主人公は様々な体験をしながら、最後に目的を達成する。
「愛する人」というのは、『あなたへ』は妻であり、『星の・・・』は息子です。
しかも、主人公が壮年の男性で、自分の「老いと死」という影も抱えながら旅しているんですよね。
『星の・・・』の方が2年前に作られているので、おそらく『あなたへ』の方が『星の・・・』を参考にしているんじゃないかと思います。
王道的な話なので、偶然の一致というのはあるかもしれないけどね。
*** ネタバレあり ***
で、『あなたへ』はベタな展開で最後まで行くのかと思いますが、ちょっと最後の方で「あれっ?」という展開がありました。
中盤ぐらいの伏線が効いてくるんですよね。
いずれにしても、人情物語なので、サブストーリーもベタですがね。
「生と死」がこの映画の主題だと思うんですが、「死んだはずなのに生きている」という中間的な存在を物語に滑り込ませることで、世界観が多層化していると思います。
王道的で基本は予定調和な映画ですが、やはり21世紀の映画であるとは思います。
あと、主役級の脇役が多数出てきます。
田中裕子、佐藤浩市、草彅剛、余貴美子、綾瀬はるか、三浦貴大、大滝秀治、長塚京三、原田美枝子、浅野忠信、ビートたけし
さすがは大御所の健さんの作品だけありますね。