聲の形

映画の日に欲張って、『ハドソン湾の奇跡』ともう一本、『聲の形』を観ました。

『君の名は。』については、2回ほど書きました。

歴史に残るアニメの名作『君の名は。』(1029本目)

『君の名は。』v.s.『シンゴジラ』では、『君の名は。』を推すけど、無条件ではない

普通にレビューを書いても面白くないので、『君の名は。』と比較しながら書いてみたいと思います。

『君の名は。』を観たときは「日本のアニメはここまで進化したのか!」衝撃を受けました。
特に映像の美しさ。
その丁寧な作り込み方には称賛を惜しみません。

そしてこの『聲の形』なんですが、やはりかなりのレベルに到達してますね。
映像の美しさは、『君の名は。』に比肩すると思います。
『君の名は。』の方が細かいつくり込みが良くできていたかと思います。

ただ、こっちの方は聾唖や聾唖者へのいじめというヘビーなテーマを扱っているので、映像は素晴らしくても『君の名は。』のようなファンタジーの世界に飛躍することはできません。
一方で、アニメという表現を取りつつ、現実の問題に根ざし、現実と向き合っているという意味では対照的だと思います。

耳が聞こえないヒロイン西宮硝子が可愛すぎるし、性格が良すぎて、ちょっと非現実的かな・・・というのはあったりしますが。
まあ、性格がひねていると、物語として成立しないし、そもそもこの時代、激しい批判を浴びることになるでしょうからね。

それはさておき。
こういう作品がアニメ映画として作られて、しかも成功を収めるというのは、時代を感じさせられましたね。
障害を持つ子供へのいじめや、その後の和解をテーマの話ですが、僕が小中学生だった80年代だったら、道徳の時間に強制的に観させられるような映画としては存在しても、大衆に受けるものとしては成立しなかったんじゃないかと思います。
一部の真面目な人に受ける地味な映画としては成り立ったかもしれませんが。
普通に若い人が自分からお金払って観てますからね。
ある意味、凄いことだと思います。

作り手側も、倫理意識を色濃く織り込みつつも、説教臭くならないように気を付けている感じはありますね。
重い内容ですが、物語は意外に淡々と進んでいきます。

『君の名は。』は時間が交錯する、SFファンタジーとしてとても良くできたストーリーです。
『聲の形』の方は、物語はシンプルだし既視感もあったりします。
でも、それで退屈はしないんですよね。
子供向けのアニメにはあまりないような、人の心の機微や、子供から大人に成長していく中での揺らぎが丁寧に描写されています。

『君の名は。』は問題の解決が、最終的には宗教というか、超自然というか、運命というか、そういうものにゆだねられています。
『聲の形』の方では、主人公はじめ、当事者の少年少女たちが現実と向き合っていくんですよね。

ほぼ同じ時期に公開されたアニメではあるし、映像表現という点でも似ているところは多々ありますが、テーマは物語は非常に対照的だと思います。
タイトルで煽ったわりには結論を出していませんね。

僕としては、『君の名は。』想像力の飛躍を買いたいと思います。
ただ、最後にご都合主義に陥ってしまったのがちょっと残念なんですよね・・・

いずれにせよ、日本のアニメは、宮崎駿や庵野秀明と言った人だけでなく、かなりトップ層のすそ野が広がっているなあ・・・と思いました。

何となくですが、2016年を境に、日本映画の方向性が変わっていくんじゃないか、と予期したりしています。


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