戦争映画・反戦映画はあまり好きではありません。
戦争を直接経験していないためか、見ていて、あまり自分と関係あることとは思えないんですよねえ。

でも・・・

NHK BSで『父と暮らせば』をやっていました。

昼の放映なので、録画して帰宅してから観ました。

うーん。
いい映画でしたねえ。

先日レビューを書いた、『紙屋悦子の青春』と同じ黒木和雄監督の作品です。

地味な名作『紙屋悦子の青春』(1027本目)

同じ監督だから当たり前ですが、作風が似てますねえ。

両者ともに、戦闘シーンを書かずに、淡々とした人間劇の中で、戦争の悲惨さを描いています。

『父と暮らせば』は井上ひさしの同名の戯曲が原作です。

舞台劇だけあって、登場人物も少なければ、シーンもかなり限定されています。
原爆で失った父が、娘の恋愛を応援するために姿をあらわす・・・という話。
言ってみれば幽霊です。

宮沢りえが演じる娘と、原田芳雄演じる父がメインで、娘の恋愛相手(?)の浅野忠信が脇役。
登場人物はほぼこの3人。
退屈する人もいるかもしれませんが、ちゃんと見ると、職人芸的な丁寧な映像のつくりになっているし、俳優がみんなうまくて引き込まれます。
これまで、宮沢りえのことは「美人だけどあまり惹かれないタレント」みたいなイメージでしたが、本作を観て、「宮沢りえって、女優として超一流かも!」と思えました。
1990年代は3M(牧瀬里穂・宮沢りえ・観月ありさ)なんて言われていましたが、現役女優として実力を示しているのは、何と言っても宮沢りえでしょう。

原田芳雄も熟練俳優ならではの風格です。

悲しい現実を描きつつも、1シーン1シーンが美しい。
『紙屋悦子の青春』もそうですが、一種のファンタジー映画としても成立していると思います。

原爆や戦争をこういう描き方をするのはいかがなものか?

という批判もありますが、悲惨さを強調すれば現実に迫れるかというと疑問です。
どんなにリアルに描いても、実際に被害に合った人たちのリアリティーには近づけないんじゃないでしょうか。

一方で、反戦映画でありつつも、父と娘の絆を描いた普遍性を持つ作品だと思います。
最近、日本映画を連続して観ていて思うのですが、日本文化は夫婦や恋人よりは、親子というタテの関係の方が基盤として強いんですよね。
明治維新以降、西洋的な婚姻文化が日本でも広がっているように見えますが、奥底では親子や家という単位が重視されている。
小津安二郎作品から本作に至るまで、それが伺えます。

幽霊になって愛する人を支える映画としては『ゴースト ニューヨークの幻』が有名ですね。
これは恋人同士の関係が起点となっています。

映画って、人間のDNA的な深いところを表現しているところがあるなあ・・・と思います。

いやー、映画って本当にいいもんですね~
それでは次週をご期待ください。
サヨナラ サヨナラ サヨナラ ♪


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