『シン・ゴジラ』のヒットで、製作委員会方式の是非の議論が再燃しています。
東宝“単独製作”『シン・ゴジラ』で露呈した製作委員会方式の功罪
『#シン・ゴジラ』をネタに製作委員会方式の良し悪しを問うのは不毛だ
製作委員会方式に対する批判は以前からありました。
映画監督では、園子温氏がこの方式を批判されていました。
園子温は尊敬していますが、製作委員会方式に問題があるという意見には同意しかねます。
もちろん、デメリットのある方法ではありますが、日本映画の活性化をもたらしていることは間違いないと思います。
80年代から映画館に足を運んでいますが、80年代までの日本映画は、産業としては斜陽状態にありました。
良い作品もたまにはありましたけど、お金を払って映画館に行きたくなるような作品は今よりも圧倒的に少なかったですね。
僕自身、映画館では洋画ばかり観てました。
製作委員会方式が導入されてから、エンタメ性の高い作品や、お金のかかった大作が出てきました。
ハリウッドと比べるとスケールが小さいのは否めませんが、以前と比べると、撮影技術もストーリの運び方も平均的には向上していると思いますね。
僕自身、映画館で邦画を観る機会は増えましたからね。
一方で、製作委員会に乗らない、作家性の強い映画もありますが、こういう作品で、質が高いものが以前と比べて少なくなかったというと、そうではないと思います。
日本映画が活性化することで、全体の底上げが起こっていると思うんですね。
いまは、過激な表現、革新的な表現が出来なくなっているところはありますけど、それは製作委員会方式が元凶なのではなく、社会的風潮の問題だと思います。
日本映画で残念なところは、作品として優れていても、宣伝力、プロデュース力が足りず、上映館も少なく、あまりヒットしない作品も多い点です。
これは、日本だけでなく、世界的にそうだと思いますが。
去年の作品ですが、『あん』という映画がありました。
今年では『リップヴァンウィンクルの花嫁』がありました。
両者ともに凄くよい映画なのですが、上映館も少なく、お客さんも少なかったんですよね。
日本映画界はこういう作品をちゃんと評価して、多少なりともヒットさせて欲しいと思いますね。
もう一つは、世界的に評価される作品が少ない点です。
最近、外資系航空会社の国際線に乗りましたが、機内のビデオ映画で、インド映画、韓国映画みたいなカテゴリーはあるのに、「日本映画」というカテゴリーはないんですよね。
「その他アジア」的な位置づけで、収録作品も少ないのです。
この点は、残念ですね。