今週末は録画の一気見です。

夏になると、NHKは戦争特集をやります。
BSでも戦争映画を放映します。

8月12日に放映された『紙屋悦子の青春』。

これまで、この作品の存在を知りませんでした。

ちょうど、放映と前後して、沢木耕太郎の『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』を読んでいたら、本作の話題が出ていました。

映画をネタに人生を語っている『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』

それで興味を持ったわけですが・・・
まさに『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』というのをそのまま映画にしたような作品でした。

** 以下、ネタバレあり **

主人公の紙屋悦子は、ひそかに想いを寄せる明石少尉から結婚相手として同僚の永与を紹介される。
明石の方は特攻隊に志願して戦地に赴く・・・という話です。

冒頭は、年老いた悦子と永与が病院の屋上で会話するシーン。
この時点で、ある程度ネタバレしてしまっています。
会話の内容から、この夫婦は仲が良いことが見て取れます。
とりとめのない会話のように見えるのですが、お互いが分かりあっている感じが伝わるんですよね。

その後の進行も、非常に淡々としています。
戦争を扱っているにもかかわらず、戦闘シーンは一切出ない。
それどころか、どのシーンも会話が中心で非常に静かなんですよね。

戯曲が元になっているので、シーンの変化も少ないし、登場人物も限定されています。
特徴的なのは、一シーンがかなりの長回しで撮られていることです。
延々と同じ場所で会話が続きます。
それでいて、退屈しないのは、脚本がしっかり練られているからですね。
あと、俳優さんたちの演技力もあるでしょうね。

何気ない会話の中にも、それぞれの深い気持ちがあって、その一部が言葉としてあらわれている。

冒頭、永瀬正敏の老人役がすごくはまっている感じがありましたが、原田知世の方はどう見ても若すぎるし、演技自体もあまりしっくりきていない感じがしました。
でも、戦時中の回想シーン(こっちがメインなんですが)になると、かなり嵌ってきます。
『時をかける少女』でデビューした時は、僕は子供でしたが、原田知世に対しては「あまり目立たない人だなあ」くらいの感想でした。
この作品は、清楚さを失わないままに女優として成熟した感があって、良い感じです。

他の俳優さんたちも、抑えた演技で感情をきっちり表現されているので、みな実力があるんだなあ・・・と思いました。

さて、物語の方ですが、悦子が明石に思いを寄せていることは最初から分かっているのですが、明石の方も同様だということが、途中で判ってきます。
戦時下ということもあり、お互いの思いを口にできないんですよね。
で、明石の方は戦死してしまい、悦子は永与と結婚します。
「運命を受け入れた」ということでもあるんですが、病院のシーンを観ていると、結果的には悦子の人生は幸せだったんだろうなあ・・・と思いますね。

監督の黒木和雄は反戦映画で有名な方ですが、表面的には「反戦映画」という印象は薄いです。
現代では、こういう作品の方が受け入れられやすいのかな・・・と思います。

とはいえ、こういう地味で淡々とした映画は、興行的にはあまり成功しないのが通例ですが・・・

日本で撮影される戦争映画のほとんどが第二次世界大戦時を扱っていますね。

アメリカ映画は、ベトナム戦争、イラク戦争など、その後の戦争を扱った作品も多いです。
アメリカは常に戦争をやっているし、そうした中で撮られた戦争映画は、どうしても現代に対する批評性を帯びてしまいます。

日本の戦争映画は、作り手側がいかにメッセージを込めようとも、戦争が風化した現代日本では伝わりにくいのは否めないかな・・・と思います。
それは、日本という国家にとっては、ある意味では幸せなことだと思います。

時代性は


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