帰ってきたヒトラー

「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」と言ったのはマルクスです。
ヒトラーの歴史の悲劇を、喜劇として繰り返してみせたのが『帰ってきたヒトラー』という映画だと思います。
二度目の歴史は単なる喜劇ではなく、必然的に悲劇性を帯びたものになるわけですが・・・

さて、この映画、Walker Plusのレビューではイマイチなのですが、複数の友達がオススメしていたので、観に行きました。

なるほどねえ。

たしかに、一般受けする映画ではないかな・・・と思います。

ハリウッド映画では、ヒトラーやナチスを扱った映画はたくさんありますが、ヒトラーやナチスを絶対悪として描き、アメリカがそれをバンバン倒すというものが多いですね。
まあ、戦勝国ですからね。
でも、それでは、なぜ20世紀という文明の時代が狂気の独裁者を生んだのかということがわかりません。

本国のドイツが作ると、どうしてもそうしたところに向き合わざるをえないんでしょうね。

本作は、『ヒトラー最期の12日間』の続編とも言えます(!?)。

ヒトラーが 1945年、死の瞬間にタイムスリップして現代に蘇り、本人の物まね芸人としてデビューする・・・という話。

ハリウッド映画のように計算されつくしてなくて、手作り感が強いですね。
「ゆるいなあ」と思えるところも多々ありました。
でも、それも含めて本作の魅力かな・・・と思います。

タイムスリップのシーンからして唐突感があります。
ハリウッドが作れば、もっと臨場感がある代わりに、仰々しくなったでしょうね。

同じ劇場にドイツ人と思しき夫婦が来ていましたが、大笑いしてました。
日本人には分からなかったり、リアリティがないところもあるのかな・・・と思いました。

でも、課題は日本も似たところがあるとは思います。

ヒトラーが芸人として大人気を博す中で、人々はそれに魅了されて、国はどんどん危険な方向へ・・・
移民問題なんかが前面に出てましたね。
あと、20世紀初頭とはメディア環境がかなり異なるのですが、ネット時代の世論操作がリアリティありましたね。
国家が言論を統制しなくても、ネット上では人々は保守化してますからね。

本国ドイツで公開されたのは去年ですが、昨今の英国のEU離脱やら、そうした現象を予見している作品とも言えます。

ただ、終わり方なんか見ていても、ちょっと政治的メッセージが強いかな・・・と思いました。

突っ込みどころの多い映画ではありますが、ハリウッド映画なんかにはない、斜に構えたウィットがあるエッジのきいた作品です。


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