週末はいかがお過ごしでしょうか?

記憶というのは、良くも悪くも無意識的に様々な脚色が入るものです。

そこに目を付けて、億の深い小説や映画が生み出されます。
DVDで観た『小さいおうち』はそういう作品でしたよ。

この作品は、直木賞を受賞した中島京子さんの同名の作品の映画化です。

原作は読んでないけど、ストーリ構成がしっかりしているので、おそらく良作なんだと思います。
さて、物語は第2次世界大戦中、お金持ちの家庭に女中をしていた女性が、年老いてから当時の回想録を執筆する。
奉公先の家の奥さんの不倫を知り・・・・というストーリーです。
と言っても、山田洋次の作品だし、渡辺淳一の原作ではないし、奥さん役が松たか子なので、エロくはなりません。

現代から過去を回想する形で物語が進んで行くわけですが・・・
主人公は、戦争時代を懐かしく楽しい時代として改装するんですよね。

そういえば、NHKの朝ドラの「ととねえちゃん」について、小林よしのりが下記のようなことを書いています。

「とと姉ちゃん」の戦時中の描写がワンパターンだ

たしかに、僕もそう思います。
この主人公の体験がどこまで事実なのか、脳内で脚色されたものなのか、良くわかない訳ですが、冒頭からワンパターンを脱しています。
山田洋次って、構成が順目過ぎてあまり好きになれないですが、本作はそうではないですね。

で、実はこの記憶の脚色が伏線になってきます。

途中から、『日の名残り』に似てるなあ・・・
と思いました。

カズオイシグロの名作小説で、映画もされた作品です。

本作も、主人公の記憶が脚色されているせいで、物語に触れる人たちも騙されてしまう訳ですが、歪められた記憶の先に真実がほのかに透けて見えてきます。
でも、明確な真相が白日に晒される訳ではない。
作品の受け手には、想像する余地が残されているのみ・・・

そんな共通性を感じた次第です。

作品としては、『小さいおうち』はとても優れた作品だと思います。
先行する『日の名残り』が名作として存在するし、おそらく本作にも強く影響を与えていると思われるので、もう少しズラしの工夫が欲しかったなあ・・・と思います。

観る価値ある作品であることは間違いないですがね。


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