「事実は小説より奇なり」と言います。

実際、そう思うことはよくあります。

例えば・・・
事実をもとにした映画や小説に対して「話が出来すぎだろう!」と思ったりします。
でも、「事実だから」と返されると、「そうですか…」と答えざるを得ない。

この映画もそんな作品でした。

『殿、利息でござる!』
殿、利息でござる

B級色の漂う時代劇で、普通なら観に行かないたぐいの映画です。
ただ、『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』の中村義洋監督作品で、口コミの評判がとても良い・・・ってことで、行ってきました。

上記の中村義洋作品と比べると、尖ったところがないですが、ほっこりとした雰囲気の漂う良作でした。

原作は『武士の家計簿』の原作者である磯田道史著『無私の日本人』の中の一編「穀田屋十三郎」。

舞台は、仙台藩領内の宿場町・吉岡宿。
この吉田宿が衰退して、困窮している。
それを打開するために、比較的裕福な住民が有志でお金を出し合って藩にお金を貸して、利息を取る。
それで、地域活性化を図ろう!というようなお話。

「百姓がお上にカネを貸して、利息取るなんてありえんだろう」と思うわけですが、実話なんですよね・・・
脚色は多々あるとは思いますけどね。

まあ、現代は国債や地方債と言うのがありますから、庶民がお上にお金を貸すというのは普通ことです。
それを考えると、時代は違うとはいえ、不思議なことではないのかもしれませんねぇ。

さて、貸付金額は、当時で言うと、3億円に相当するということですが・・・
結構な額を調達してますねえ。
江戸時代は、百姓はお上に年貢を召し上げられて貧困に陥っていた・・・
みたいな描かれ方をされてきたし、本作でもそういう描き方をされています。
でも、商売をやって成功している人はそこそこいたんですよねえ。

あと、貸し付けの利息は約1割なんだそうです(!)。
いまの国債や郵便貯金の利息を考えると、江戸時代の方がいいじゃないか!?
と思ったりします。

さて。
お上に貸し付けをやるのに、順序を追って話を上げていかなければならない、官僚組織の面倒臭さが描かれていたりします。
さらに、出資者間のいざこざがあったりと、色々とトラブルも起こるわけですが・・・
ハッピーエンドであるだけでなく、根本的な悪人がおらず、みんな「根は良い人」として描かれているのがこの映画の良いところでしょうね。
私腹を肥やそうというのではなく、みんな何らかのために人々のために尽くそうとしている。

とはいえ、僕みたいに心が汚れた人間からすると、「ちょっとキレイすぎないか?」と思ったりもします。

司馬遼太郎的な「昔の日本人は立派だった」という発想が根本にあるんですよね。

「そういう人もいたと思うけど、大半の人は昔も今も変わらずエゴにまみれてるんじゃないのかなあ・・・」と皮肉なことも思ったりします。

まあ、皆さんのように心の澄んだ方々にとっては、素直に観られて、素直に楽しめる作品だと思いますよ。

ちなみに、本作はフィギュアスケートの羽生結弦が出ています。
初の映画デビューとか。
若すぎて役柄には違和感ありましたが、見ているときは羽入君だったとは気づきませんでした。


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