前の週末、DVDで『リンダリンダリンダ』を観ました。
公開当時から観たい映画の一つだったんですが、優先順位は高くなかったので、後回しにしているうちに10年も経っていました。
青春映画は、琴線に触れるところがあれば、完成度は低くても許せたりするのですが、本作はかなりしっかり作り込まれているいい映画でした。
ストーリーは、女子高生がにわかのブルーハーツのコピーバンドを組んで文化祭で歌うという「いかにも」な王道路線。
レビューを見ると、『スウィングガールズ』と比較している人が目立ちました。
たしかに、女子高生の音楽モノという点では共通ですね。
『スイングガールズ』押しの人からの、「盛り上がりに欠ける」「意味のないシーンが多すぎて退屈」みたいな厳しい意見が目立ちます。
青春映画というのは、「僕も(私も)あの時はこうだったなあ」というノスタルジーと、「こういう青春時代を送りたかったなあ」という悔恨じみた願望の間にあるものだと思います。
『スウィングガールズ』が後者に近いとすると、『リンダリンダリンダ』は前者に近いのかもしれません。
友人関係がすれ違ったり、恋愛もうまくいかなかったりと、リアリティがあるんですよね。
最後の学園祭のシーンは盛り上がりはありますが、会場の後ろの方では、座り込んでダルそうに手を叩いている生徒もいたりして、その辺が変にリアリティあるんですよね。
過剰に盛り上げようとしない演出が、逆にノスタルジーを誘うんですよね。
ペドゥナ演じる韓国人留学生のボーカルのソンに、松山ケンイチ役の男子高生が告白してスベるシーンとか、言語のギャップとコミュニケーションの未熟さに妙におかしさがあります。
そういう青春時代の未熟さゆえの感性とかズレ方とかが丁寧にすくい上げられています。
それを魅力とは思わない人も多いとは思いますが、僕は見ていて結構ハマりましたね。
雰囲気としては『スウィングガールズ』と、中原俊の『櫻の園』の間に位置するような作品かなと思います。
ふっきれ感と悶々感が同居するリアリティーは『色即ぜねれいしょん』を彷彿とさせるところもありました。
こっちは男子高生版ですが。
年取ったせいかもしれませんが、ワーッと盛り上がる燃焼系より、淡々としていたり、悶々としていたりする青春映画の方がいまは好きです。