やくざ

新型コロナの影響で、ハリウッド映画があまり上映されなくなってしまいましたが、日本映画でかなりレベル高い作品が作られているので、あまり不満はありません。

最近、『ヤクザと家族  The Family』『すばらしき世界』というヤクザ映画(?)を観ましたが、そのクオリティの高さに驚かせられました。

両者ともに共通するテーマは、暴対法施行後に、ヤクザという職業が成立しなくなる中、元ヤクザが社会復帰することがいかに難しいか? ということです。

両者ともに、脚本、俳優の演技、映像の作り、構成ともにかなり優れていて、ほぼ完ぺきな映画だと思います。

特筆すべき点は、反社会勢力の人間を主人公としながらも、ちゃんと彼らに共感できるような作りになっていることです。
その一方で、暴力団を決して容認しているわけでもなく、その辺のバランス感が優れているので、映画を観ていても、「赤の他人のドラマ」ではなく、自分の身に引きつけて考えることができます。

さて、社会から排除された人たちの居場所として、これまで暴力団という存在があったのですが、それがなくなり、暴力団という組織からも排除され、居場所を失うこともある。

人々は「元ヤクザ」を白い目で見るし、就職先を見つけるのも、一般人と人間関係を構築するのも難しく(当人側も、容易に「真人間」に生まれ変われるわけでもない)、社会復帰が極めて困難になる。

いま、沖縄の貧困層に関する本を読んだりしているのですが、彼らも社会から排除されつつ、行き場を失いながらも、必死で社会に踏み留まろうとしているんですよねぇ。

こういう映画が連続して公開されるのは、まだ日本社会が健全な証拠だと思う一方で、こういった作品に共感する人が多い現状は、多くの人が、「この社会から排除されている」あるいは「いずれ排除されるかもしれない」という恐怖や孤独感を抱いているからかもしれません。

「ヤクザになった本人が悪い」、「最初からヤクザになんかならなければ良かったんだ」みたいなことを言う人もいますが、家庭環境や地元の仲間の状況次第で、誰でも同じようになる可能性はあると思うんですよ。

彼らに対して、社会として何をしなければならないのか?
というのは、凄く考えさせられるわけですが、映画自体は、難しいことを考えなくても、素直に観て、素直に感動できます。
(と言っても、両方とも明るい作品ではないので、心して観る必要がありますが)

いずれにせよ、「今年はこの二作を超える作品には会えないんじゃないか」と思うくらい、優れた映画でした。

特に、『ヤクザと家族』は、『ゴッドファーザー』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と競えるくらいの名作だと思います。

オススメです。


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