仮名手本忠臣蔵01

報告が遅くなりましたが、日曜日に国立劇場に歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』を観に行ってきました。

今年は、国立劇場50周年で、色々な事業をやっていますが、最後がこの仮名手本忠臣蔵の全段上演。
10、11、12月の3部構成になってますが、考えてみると挑戦的な企画です。
通しでやるとかなり長いですからねえ・・・

今回は第1部で、大序~四段目まで。

11:00開演で、終了が16:15と、5時間15分の公演です(!)
途中に2回、長い幕間がありますので、実質的には4時間半弱と言ったところですが、それでも長い!

国立劇場って、他の劇場と比べても席の間隔が狭く、窮屈です。
なので、結構疲れてお尻が痛くなってしまいました。

さて、この仮名手本忠臣蔵、江戸初期に起きた赤穂浪士の討ち入り事件をベースにしているのですが、当時は幕府の規制が強く、室町時代の事件に置き換えて、登場人物の名前も変えられてしまったりします。
名前や設定がバレバレだったりしますが、その辺はお咎めなしだったんですねえ。
幕府は寛容なのか厳しいのか、良く分かりません。

実際の赤穂浪士事件は、当時から、その是非について議論がありました。
昨年の講演会の報告でもちょっと書いた通りです。

元禄赤穂事件と忠臣蔵

実は、吉良上野介は名君だったという説もあり、赤穂浪士は言ってみればテロリストともみなせるんだそうです。
仮名手本忠臣蔵のせいで悪人に仕立てられてしまったんですね。
それだけ、この作品の影響力が強かったということでもありますが。

現代でも、『アマデウス』に影響を受けてモーツァルトが死んだのはアントニオサリエリのせいだと思い込んでしまったり、『竜馬が行く』に熱狂するあまり明治維新の最大の貢献者だと思い込んでしまったり、ということはありますからね。

そんなわけで、この作品は史実は横においておいて、あくまでもフィクションとして楽しむべきものだと思います。

今回の大序~四段目までの上演で、塩谷判官が切腹して、側近が仇討ちを誓うところまでしか行きません。
実にゆったりしています。
現代からするとかったるいんですが、このゆったりした流れに身を置かないと、当時の人々の精神に同化して作品世界に身をゆだねることはできないんだと思います。

歌舞伎座なんかでは、半日の公演で3つくらいの演目が切れ切れで上演されることが多くて、飽きずに楽しめるのですが、これが本来の歌舞伎の楽しみ方ではないのかな・・・とも思ったりします。

さて、この仮名手本忠臣蔵仇討に至る間にいくつものサブストーリーが展開されるんですよね。
家系図やら人間関係(主従関係や敵対関係)を事前に頭に入れておかないと混乱します。
今回、「だいたいのストーリーは知ってるから、わかるだろう」と高を括って、ちゃんと予習せずに、臨んだのですが、あえなく撃沈しました。
11月の第2部までには、全体のストーリー(サブストーリー含めて)を頭に入れておきたいと思います。

しかし、当時の江戸の庶民というのは、知的レベルが高かったんだなあ・・・と感心させられます。
もっとも、テレビも映画もネットもない時代なので、エンターテイメントは限定されていたので、現代人とは受けている情報量が圧倒的に違わけですが。

忠臣蔵というのは、色々な意味で日本人の精神を反映したものだといわれているので、この作品について深く勉強しておく意義も大きいと思います。

仮名手本忠臣蔵02

今回の公演で面白かったのは、古来の伝統に従い、塩谷判官切腹の場では、客の出入りを制限していた点です。

仮名手本忠臣蔵03

昔は、劇場という場が、公演時は異次元の特別な空間に転じていたんだなあ・・・と納得させられました。


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