体操女子の宮川紗江に暴力行為を働き、速見佑斗コーチが無期限登録抹消などの処分を受けました。
これに対し、「被害者」の宮川が「パワハラされたと感じていない」と発表して物議を醸してます。

被害者が否定…迷走する体操・宮川へのパワハラ問題 誰が認定すべきものか?

このニュースを読んだ当初は驚いたのですが、よくよく考えてみて「そういうこともあるだろう」と納得できました。
「厳しい指導」と「パワハラ」とは曖昧で、境界線が明確ではありません。

「本人(被害者)がそう思えばハラスメント」という解釈が一般的なようですが、それで割り切れるものでもないんですよね。
この基準に照らすと、速見氏の行為も「パワハラじゃない」となります。

例えば、DV男がいて、奥さんをボコボコに暴力を振るっていたとします。
お互い愛し合っていて、奥さんは夫のDVを受けれいてもいる。
ただ、DV男の行為はエスカレートして、奥さんの身体を害する恐れもあるし、子供への悪影響も懸念される。
この場合、「当事者(奥さん)がDVじゃないと言ってるから放置で問題ない」とはなかなか割り切れないと思います。

僕が会社員の頃、先輩から明確にパワハラを受けていました。
部署を移動して何とかなったんですが、その後、その先輩は別の後輩にパワハラを働き、降格処分になりました。
僕に対してパワハラを働いていた頃は、企業コンプライアンスが今ほど厳しくなく、先輩の行為は上昇部は

知りつつも、「熱心な指導」ということでお咎め無しでした。
この時、先輩がパワハラ認定して降格処分になったとしたら、僕は「先輩に行き過ぎたところはあったと思いますが、後輩に対する愛情でやったことなので、降格までしないでください」と言っていたと思います。
先輩が怖いからだけではなく、当時は本当にそう考えてたんですよ。
でも、その後、先輩が降格になったと知って、「自業自得だよ。ザマーみろ」と思いました。
距離と時間を置いてみて、「あれはパワハラだった」と悟ったんですよね。

一方で、そうならない場合もあります。
演出家の故・蜷川幸雄氏は厳しい指導で知られていて、彼の行為は現在の基準に照らすと、明らかにパワハラです。
でも、指導を受けた役者は蜷川幸雄を慕ってもいるし、実際に、彼の指導で成長した役者もたくさんいます。

セクハラも同様なんですよね。
大御所の映画監督ロマン・ポランスキーに未成年の頃にレイプされた女優たちは、その後も、ポランスキーと仲良く(?)仕事したり、恋愛関係にあったりしました。
干されることや報復を恐れたというのもあるかもしれないけど、それだけじゃなくて、愛情、あるいはそれに類する感情はあったんじゃないかと思うんですよね。

暴力を振るう父親のことが根本的に嫌いになれないみたいな、そういう屈折した感情が生まれてたんじゃないかな。

そう言えば、僕の友人に、女の子にストーカー行為を働いた男がいました。
相手の女性は最初はかなり嫌がっていたのですが、途中で「私のことを本気で好きなんだ」、「やっぱりこの人良い人かも」と考えが変わり、その4ヶ月後には結婚してしまいました。
女性の気持ちが変わらなければ、「キモいストーカー」で終わっていたし、場合によっては警察沙汰になっていたかもしれません。

「ストックホルム症候群」という言葉があります。
誘拐や監禁にあった被害者が、犯人に対して好意を抱いたりすることを指す言葉なのですが、こういうことって普遍的に起こりうることだと思います。

宮川-速見の関係がどうだったのかはわからないし、彼らの関係が上で述べたような事例のどれかと似ているのかもわかりません。

ただ、ハラスメントとか否かという判断は意外に難しいし、当事者同士の間でも判断できないことも多いというのは事実だと思います。

ハラスメントを断罪するだけでなく、それを受容してしまう人々の心理にも目を向けないと、本質は見えない気もします。


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