労働者の皆さま、今日も一日ご苦労様です

ちょっと遅れてしましたが、NHKスペシャル 戦後70年 ニッポンの肖像を見て、いろいろと考えさせられましたね。

2回にわたって、高度成長からバブル崩壊に至るまでの戦後経済を俯瞰しているのですが、戦後日本の成功と失敗は表裏一体だということが実感できました。

発展途上国を旅行していると、「どうして日本は成功したのか?」と聞かれることがあります。
リーマンショック後の大変な時に、インドネシアに出張に行ったのですが、現地人からやはりそう聞かれました。
「別に成功していないよ。今は大変だよ」と言いたかったのですが、インドネシアからしてみると、日本はまだまだ成功している国と映るのでしょう。

この質問は答えに窮しますね。
「日本人は勤勉だからだ」と紋切り型の答えをしたら、「俺たちだって勤勉だよ」と言われました。
実際のところ、日本人ほど勤勉には見えないのですが、「日本人が(インドネシア人より)勤勉だから成功したのか?」と言われると、そうでもないような気がします。

沢木耕太郎の『深夜特急』にギリシアで学生から議論を吹っ掛けられるシーンがありました。

「なぜ日本はテイク・オフできたのに、インドは依然としてテイク・オフできないでいるのか」
テイク・オフという概念は、確か経済発展段階説のロストウのとくいにするものだったはずだが、私にはもう飛行機の離陸としてのイメージしか浮かばない。なぜ日本は近代化に成功したかなどといきなり訊ねられても、私にはどう答えたらいいのかよくわからなかった。あるいは、江戸時代の封建制から説き起こせばよかったのかもしれないし、日本人の資質と教育水準の高さに原因を求めればよかったのかもしれない。島国であったという地理的条件が植民地化を間逃れさせたということを第一に述べてもよかったかもしれない。しかし、私にはどれも原因のひとつにしか過ぎないように思えた。だから、私は日ごろ常に思っていることを簡単に伝えることにした。
「ラック」
運だ。私が言うと、彼は馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「では、なぜ敗戦にもかかわらずこれほど見事にリカバーすることができたのか」
日本の戦後の驚異的な復興の原因は何か。私はしばらく考え、また言った。
「運だ」
彼はその答えに満足せず、角度を変えていろいろ訪ねてきたが、私には日本という国がたまたま運がよかつたのだという以上に確かなことはないように思えた。

このシーンが頭の片隅に残っていたのですが、この番組を見ていて、沢木氏の返事はあながち間違いでもないような気がしてきました。

・マッカーサーは日本の経済弱体化を企図していたが、戦前の日本の経済支援を無駄にしたくないために、日本経済の自由化に踏み切った
・ちょうど高度成長期にベビーブーム世代が成人して大量の労働力の共有が実現された
等々。

日本人の資質や努力はもちろんあったのでしょうが、様々な「運」が重なっていたことがうかがえます。
さまざまな成功となった要因がバブルを生み、バブル崩壊を生み「失敗要因」ともなった。

番組の最後に、「少子高齢化が進む中、これから団塊世代のリタイアが加速していく。日本はいまのうちに新たな産業を生み出し、成長シナリオを描けなければならない。いまがラストチャンスだ」みたいなコメントがありました。

もはや、日本は運が味方をしてくれそうにはありません。

日本人が自分の力で、本物の経済復活を実現することができるのか、じっくりと見守りたいと思います。


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