BSで『ちゅらさん』が再放送されています。
NHKでは総集編を放送、BS12では全編放送です。
沖縄に来て間もないころ、総集編はDVDを借りてみたので、今度は全編の方を見ています。
長いので、ダレルかなあ…とも思ったりしたのですが、現時点では全くそういうことはないですね。
さて、この作品は空前の沖縄ブームを起こした作品です。
物語の始まりは・・・
沖縄・小浜島に生まれたヒロインの古波蔵恵里(国仲涼子)は、東京から引っ越してきた上村家の文也と知り合い、そこで結婚の約束をして……
というところですが、総集編を見た時では、沖縄生活も始まったばかりなので、「外の人」の視点、つまりは上村家の人々の視点から見ていました。
そういう視点から言えば、「沖縄は都会のストレスを忘れさせてくれる癒しの島」と見えます。
実際、上村家が小浜島に越してきたのは、不治の病に侵された長男の和也(恵里と恋仲になる文也の兄)の療養のためだったんですね。
実際に、和也は小浜島で「生きる力」を取り戻していく……ということになります。
でも、この作品をよく見てみると、単純に沖縄を「癒しの島」とは書いていないことに改めて気づかされます。
まず、和也は生きる力を取り戻すことはできても、結局病は回復せず、死んでしまいます。
古波蔵家にしても、伸び伸びと能天気に生きているように見えて、経済環境は決して良くないし、島外への移住も考えていて、実際に家族は那覇に移住してしまうんですよね。
恵里の父の古波蔵恵文(堺正章)も良い人ではあるのですが、あまり働かず、一家の大黒柱とは言い難く、収入源として当てになりません(実際の沖縄の男にありがち)。
沖縄の離島で高校があるのは、沖縄本島、石垣島、宮古島、久米島だけなので、その他の離島出身者は、高校進学の際は、いずれにしても故郷を離れないとなりません。
離島に住むことの問題って色々あるんですよねぇ。
『ちゅらさん』の時代以上に、いまは離島は過疎化が進んでいて、高齢者問題を抱えています。
小浜島は複合リゾート施設『はいむるぶし』ができて潤っていますが、結局は「外需」頼りです(コロナ禍の現在はヤバいと思いますが)。
沖縄に3年半住んでみると、「沖縄に住む人々」という視点からも本ドラマを見るようになるんですが、何気に「沖縄の問題」、「離島の問題」も深刻にならないレベルではあるけど、ちゃんと描いているなあ……と感心してしまいます。
このドラマについては、沖縄の人々の評価も高く、「現実の沖縄とは違う!」みたいな声は、さほど出ていません。
(「美しく描かれすぎ」という意見も多少は聞いていますが)
最初に見たときは、感動はしたものの「ちょっとご都合主義なところが目立つなあ」とも思いました。
物語が進んでいくと、そういうところも出てくるんでしょうが、改めて「このドラマは一種のファンタジーだ」と思わせられるところもあると同時に、「単純に沖縄を美化しているわけでもない」ということにも気づかされます。
その辺のバランス感覚が絶妙で、それがこのドラマのつくりの優れたところだと思いますね。
沖縄に3年半住み、良いところばかりでなく、悪いところも結構見えるようにはなってきますが、それでも「ここは良いなあ」と思えるし、そうした思いがあるからこそ、『ちゅらさん』を見ても、当時とは違った捉え方をしながらも受け入れられるのかなあ……と思ったりしています。