9月10日の『クロ現』を見ていて、社員を叱咤しているたこ焼き屋の社長が出てきて、「あー、こりゃ炎上しそうだなあ」と思ってたら、案の定、物議をかもしたようですねえ。
『クローズアップ現代+』たこ焼き・道頓堀くくる社長の言動が「パワハラでは」と物議
炎上とまでは言えないかもしれませんが、「パワハラ」、「ブラック企業」みたいな声が出てますねえ。
去年は大戸屋がやらかしていました。
大戸屋、『ガイア』密着で“壮絶なブラック企業ぶり”を全国に晒す…早くも客離れの兆候
自分の実家がずっと飲食業で、家族・親戚も飲食業をやっているのでよくわかるのですが、飲食業の「常識」というのは、いまの世界の「常識」からズレています。
飲食店側が取材を受けて、「厳しい環境で頑張っている姿を見せよう!」と思ったところで、視聴者から見れば「完全なブラック企業じゃん!」と見えてしまうんですよねえ。
いまはだいぶ変わっているかもしれませんし、都会と田舎では違うと思いますが、少なくとも僕が子供のころは、飲食店で働いる人は「学歴にもスキルにもかけている人」という感じでした。
チンピラというか、ヤクザ予備軍みたいな人もいました。
(実際に実家のお店の従業員はそうだった)
そうした中で、頑張って料理や経営のノウハウを身に着けつつ、貯金をして、数年後に自分の飲食店を開店する……というのが、彼らのキャリアプロセスでした。
そこまで行く人は少数派で、たいていはスキルを身に着ける前に飲食店を辞めてしまいます。
ただ、最終的に、自分の店を開いて成功することができれば、サラリーマン以上の収入が得られる場合もあるし、事業リスクはあっても、会社員のような制約も受けないで働けるので、それなりに良い人生だとは思います。
だから、飲食店の従業員時代は「いまがガマンの時」というのはあるんですよねぇ。
もちろん、料理や経営のセンスがあれば、飲食店で長い下積み期間を経なくても成功できる人もいると思うんですが、そういう人は少数派だと思うんですよ。
加えて、いまはコロナの時代でかなり厳しい環境にあります。
どっちにしても、生き残っていくのは厳しいわけで、「クビにされて別の仕事を探す方が幸せなのか?」というと、何とも言えないところですよねぇ。
僕自身は、受験勉強は死ぬほど頑張ったし、大学時代も一生懸命勉強したし(その内容が仕事に役立ったかはさておき)、会社でも結構苦労しました。
資産運用についても、かなり勉強をしました。
いまはすごくラクな生活をしているけど、ここに至るには長い下積み期間があったから……というのは紛れもない事実なんですよねえ。
ちなみに、会社員時代に先輩に厳しくされたことは何度もあるし、パワハラも受けたこともありますが、
- 本当に僕自身のスキルアップやキャリアを親身に考えてくれて、最後まで面倒を見てくれた先輩に対しては、厳しくされた(たまに理不尽なこともあったけど)ことはパワハラだとは思ってない
- 単純に厳しいだけで、実際に何人かの社員をつぶした先輩から受けた行為はパワハラだと思っている
というところです。
僕の中では、この2つは明確に区別がついているのですが、いまの時代で難しいのは、「上司や経営者が人を育てるつもりで厳しくしても、下々はそういう風に受け取っていない」ということが頻発することです。
パワハラか否かというのは線引きが難しいので、番組を見ていて不快感はあっても、「パワハラだ」、「ブラック企業だ」と断罪はできない……と思うんですよねぇ。
人々が厳しい環境に置かれなくても豊かに生きていけることが、「文明の力」だとは思っていますが。